こんにちは、やまエイト編集部のエイトです。
今回は、私の日帰り登山の装備を全部ご紹介します。
ここで軽く自己紹介を。登山を始めて10年以上、自分で数えてみたら山行は通算800回を超えていました。今も月に最低でも1回以上は山に登っています。休暇がとれれば泊まりの山行にも出かけますが、圧倒的に回数が多いのは、車で登山口まで行って日が暮れる前に下りてくる日帰り登山です。
山が好きになると、道具も好きになるもので。この10年で装備は何度も入れ替えてきました。
この記事にまとめたのは、その入れ替えの末に残った「今の私の答え」の全15点です。各装備には、私が使っているものだけでなく定番の他の選択肢も添えました。これから登山を始める方や予算を抑えたい方には、私の使用品よりそちらのほうが合うかもしれないので、あわせて参考にしてください。
みなさんの装備選びの参考になれば幸いです。
先に結論からお伝えします。
【この記事の結論】
私の日帰り装備は全部で15点。ジャンル別に3つにまとめました。
① ギア(ザック・ヘッドライト・モバイルバッテリー・救急セット・レジャーシート)
② ウェア(登山靴・ベースレイヤー・防虫シャツ・帽子・レインウェア)
③ 虫対策と補給(虫除けスプレー・ハッカ油・おにやんま君・飲み物・行動食)
日帰りだからこそ、ヘッドライトや救急セットのような「守り」を削らないのが私のポリシーです。
ここからは、装備ごとに「いま使っているもの」と「定番の他の選択肢」をセットで見ていきます。選択肢の中には、私が以前使っていたものや、買うときに最後まで迷ったものも入っています。
これから道具をそろえる方の叩き台になればうれしいです。
ちなみに登山の世界には、最優先でそろえるべき装備として「三種の神器」(ザック・登山靴・レインウェア)という言葉があります。これから始める方で「何から揃えたらいいか分からない」という人は、まずこの3つから揃えてみてください(詳しくは後述します)。本文では、どれがその神器なのかにも触れながら進めますね。
日帰り登山の持ち物リスト【全15点】

まずは一覧から。出発前の荷造りのとき、上から順に確認していけばチェックリストとしても使えます(スマホならこの表をスクリーンショットしておくのがおすすめです)。
| グループ | 装備 | 私が使っているもの |
|---|---|---|
| ギア | ザック(25〜30L) | ミレー サースフェー NX 30+5 |
| ヘッドライト | ペツル ティカ(専用充電池コア併用) | |
| モバイルバッテリー | Anker 20000mAh+サブ10000mAh | |
| 救急セット | SOL+ポイズンリムーバー+テーピングの自作キット | |
| レジャーシート・ごみ袋 | 100均の商品を使用 | |
| ウェア | 登山靴 | ローバー タホー プロ II GT WXL |
| ベースレイヤー | ミレー ドライナミックメッシュ | |
| 防虫ウェア(長袖シャツ) | ミレー インセクト バリヤー 長袖シャツ | |
| 帽子 | ノースフェイス バーブキャップ | |
| レインウェア | ミレー ティフォン50000 ストレッチ ジャケット | |
| 虫対策と補給 | 虫除けスプレー | スキンベープミスト プレミアム |
| 自作ハッカ油スプレー | 無印良品のボトルで自作 | |
| おにやんま君 | サンライン正規品 | |
| 飲み物 | 凍らせた麦茶のペットボトル+予備の水 | |
| 行動食 | 栄養補助バー・ラムネ・羊羹など |
この表に載っていないものも持っていくときがありますが、毎回装備するわけではないので15点からは除外しています。次の「季節・山域で足すもの」にまとめているので、そちらも参考にしてみてください。
また、地図はYAMAPやヤマレコなどのスマホアプリを使っています。アプリが優秀なので、日帰りでは紙媒体の地図は持っていきません(テント泊の縦走時等は、念のため紙地図とコンパスも持ちます)。そのぶん、スマホの電池が切れると地図も連絡手段も一度に使えなくなるので、モバイルバッテリーを2個持つ運用でカバーしています。
ここに載っていない装備は?【季節・山域で足すもの】
15点は「どの日帰りでも必ず持つもの」。ここから減ることはなく、季節や山に応じて足す装備があります。
| 装備 | 出番 | 私の運用 |
|---|---|---|
| 防寒着(フリース) | 秋〜春・標高の高い山 | ミレーの薄手グリッドフリースを1枚追加 |
| 熊鈴 | クマ情報のある山域・人の少ないルート | カウベル型を所有。付け方と鳴らしどころは別記事で |
| クマスプレー | クマの出没が増える時期・山域 | 出る時期は必ず携帯 |
| トレッキングポール | 長時間の行動日・未整備の道 | 山ごとに4基準で判断。微妙な日は折りたたみを保険に |
| タイツ | ズボンが薄手の日・肌寒い時期 | 履く日と履かない日を分ける派 |
| ゲイター | 雨後のぬかるみ・朝露の濃い日 | 毎回は持たない。代用の実力と限界は検証済み |
| 軽アイゼン | 春先の残雪・日陰の凍結 | 残雪情報が出ていたら計画ごと見直す慎重派 |
| バーナー・クッカー | コーヒー・山ごはん | 基本は持っていき、使う予定のない日だけ置いていく |
| サングラス・グローブ・日焼け止め | 日差しの強い日・岩場 | 季節と山に応じて持っていく日も |
それぞれ「いる・いらない」の判断基準が1記事ぶんあるテーマなので、詳しくはリンク先で。ここでは「必需15点+状況に応じて持っていく装備」という全体像だけつかんでください。
ここから、装備ごとに「なぜこれなのか」と「他の候補」を見ていきます。
【ギア】ザック・ライト・バッテリー・救急セット

まずは道具まわりのジャンルから。ザックはいくつも試した末に、個人的に「たどり着いた答え」だと思っている一品です。モバイルバッテリーには心配性な私なりの工夫もあるので、あわせて紹介しますね。
ザック:ミレー サースフェー NX 30+5
▲私が使っているサースフェー NX 30+5
三種の神器の一つ目が、このザックです。選んだ一番の理由は機能性とフィット感。それと、個人的に好きなブランドという信頼感もあります。
ここに行き着くまでには失敗もありました。初心者の頃に買った20Lくらいの安いザックは、思ったより荷物が入らない、最初に入れた荷物が下に沈んで取りにくい、荷物が少ないわりに肩が重い——と不満だらけで、最終的には肩紐が根本からビリビリッと破れてお役御免に。その経験から「少し値が張っても良いものを」と容量大きめを2〜3個試して、最終的に行き着いたのがこのサースフェーです。
一番の推しは、やはりフィット感。
厚みのある腰ベルトが荷重をしっかり腰に逃がしてくれるので、軽量ザックと同じ荷物を積んでもサースフェーのほうが圧倒的に軽く感じます。「腰で背負う」の教科書のようなザックです。
二番目は、登山向けに考え抜かれた構造。
基本30Lで、足りない日は背面の調整ベルトを操作すると本体そのままで上に+5L拡張できます。そして地味に革命的なのが2気室構造——内部のファスナーを閉めるとザック内に仕切りができて、整理整頓が一気に楽になります。使い終わったレインウェアや汗を拭いたタオルを他の荷物と分けたいときにも便利。しかも本体が上下両方向から開閉できるので、「下のほうにしまい込んだ物を取り出すために全部出す」あの面倒(私はよくやっていました)から解放されます。
細かいところでは、特にサイドポケットが優秀です。水やお茶のボトルを挟んでおけるのですが、これが下からスッと取り出せる角度になっていて、歩きながらでもストレスなし。
私は使っていませんが、ハイドレーション(チューブで飲む給水システム)にも対応しているので、よく使う人にもおすすめです。
また、腰ベルトの左右にも収納があって、ここも拡張できるので市販の虫除けスプレーくらいなら入ります。
付属品も専用レインカバー・チェストストラップのホイッスル・ポールやピッケルを固定できるホルダーと揃っていて、個人的には非の打ち所がない製品だと思っています。
テント泊のときは別の大容量ザックを使いますが、それ以外は全部これ1つ。値段は少し張るものの耐久性が高いので、私のように「安いザックを買っては壊し」を繰り返すコストを考えると、お釣りがくるどころか利益が出るくらいだと思っています。
※フィット感には個人差があります。ネットで買う場合も、できれば一度店舗で背負ってみてからの購入が失敗しないと思います。
他の定番も少し挙げておきます。
- グレゴリー ズール30…背面の通気構造が優秀で、汗かき派の定番
- カリマー リッジ30…日本人向けの背負い心地に定評のあるロングセラー
- オスプレー ケストレル28…収納の作り込みが細かく、道具好きに人気
- モンベル ガレナパック30…軽くて価格も手頃。コスパならこれ
容量選びで迷っている人向けに、私が30Lに落ち着いた3つの理由と容量別の目安をこちらの記事にまとめています。下のカードからどうぞ。

パッキングは「重いものを背中側の上寄り」が基本
詰め方にもコツがあります。基本は重いもの(水・バッテリー)を背中側の上寄りに。重心が体に近く高い位置にあるほど、背負ったときに軽く感じます。逆に重いものが底や外側にあると、後ろに引っ張られてすぐバテます。
サースフェーのような2気室構造のザックなら、この詰め方がさらに楽になります。下の気室に「山では出番の少ないもの」、上の気室に「よく使うもの」と分けてしまえば、重心管理と取り出しやすさが一度に片付きます。下からも開けられるので、底の物が必要になっても総崩れしません。
そしてレインウェアは一番上か雨蓋のポケット。降り出してから底をほじくり返すようでは、出す前に濡れます。すぐ出せる場所に入っていてこその装備です。
あと、着替えやバッテリーなど濡らしたくないものは、ジップロックや袋に小分けしてから詰めています。ザックの防水は過信できないのと、小分けにしておくと「どこに何があるか」が手の感触で分かるので、探し物の時間も減ります。
ここからは、同じギアでも「安全装備」の3つです。日帰りだと油断しがちなゾーンですが、3つ合わせてもペットボトル1本分くらいの重さしかないので、「持たない理由」がない装備たちです。
ヘッドライト:ペツル ティカ(+専用充電池コア)
▲私が使っているペツルの「ティカ」
「日帰りなのにライト?」と思うかもしれませんが、道迷いや思わぬ渋滞で下山が遅れれば、山の夜は本当に真っ暗です。スマホのライトで代用すると、電池をどんどん削るうえに片手がふさがり、明るさも専用品には届きません。ライトは分けて持つのが正解です。

ティカは大きなボタンひとつで全部の操作が完結するシンプルさが気に入っています。単4乾電池でも専用充電池「コア」でも動くハイブリッド式で、私は使い勝手のよさを気に入り、コアを買い足しました。普段はコアで充電して使い、ザックには予備の単4を忍ばせる——電源の二重化までできるのがこのライトの強みです。
他の定番はこのあたりです。
- ペツル ティキナ…ティカの手頃な弟分。最初の一台に
- ブラックダイヤモンド スポット…IPX8の防水と側面タップ操作が特徴の定番
- マイルストーン…目に優しい電球色LEDに定評のある国内ブランド
モバイルバッテリー:Anker 20000mAh+サブ10000mAhの2個体制
▲私のメイン。残量が数字で見えるディスプレイ付き
地図をYAMAPに頼っている以上、電池切れでスマホが使えなくなるのがいちばん怖い。私はメインにAnker Power Bank(20000mAh・30W)、それとは別に仕事でも使っているAnker Power Bank(10000mAh・22.5W)をサブで持っていきます。電波が届けば連絡もできるし情報も取得できるので、バッテリーの二重化は間違いないと思ってます。
正直、日帰りだけなら10000mAhクラス1個(フル充電1.5〜2回分)で十分です。(私は心配性なので2つ持って行ってますが)
CIO・エレコムあたりでも役割は同じなので、重さと信頼性のバランスで選んでください。
ひとつだけ注意点なのですが、充電ケーブルの端子はお使いのスマホによって異なります。自分のスマホに合うかの確認だけお忘れなく。もし合うものがなくても、ケーブルなら100均でも揃えられるので大丈夫です。
救急セット:SOL+ポイズンリムーバー+テーピングの自作キット
▲数百円で命綱になるSOLのヒートシート
登山では、何が起こるかわかりません。転んだ擦り傷ひとつでも、山の中では家のようにすぐ手当てできない。だから救急セットは「必須ではないけれど、必要な装備」です。日常使いのカバンに絆創膏を忍ばせておくのと同じイメージ、と言えば伝わるでしょうか。
私は市販の救急ポーチではなく、ジップロックに自分で詰めた自作キットにしています。中身は、SOLのエマージェンシーブランケット(低体温症対策の定番)、ポイズンリムーバー(ハチやブヨの毒液を吸い出す器具。虫嫌いとしては精神安定剤でもあります)、ニューハレのエマージェンシーテープ(カット済みでハサミいらずのテーピング)の3点セット。そこに念のため、絆創膏と痛み止めや胃腸薬などの常備薬を足しています。
ジップロックにしている理由は、中身が一目で分かって、防水も兼ねられるから。また、マジックで薬の使用期限を直接書けるので、期限切れの交換もひと目で分かって楽です。それと、旅行に行くときもこのまま持ち出せるので、別途準備し直さなくていいのも地味にうれしいところ。
置き場所はすぐ出せる雨蓋や上部が定位置です。特にポイズンリムーバーは刺された直後の処置が肝心といわれるので、奥にしまい込まないことだけは徹底しています。
エマージェンシーシートはSOLが定番ですが、モンベルのサバイバルシートや100均の銀シートから始める人もいます。100均の銀シートは正直、保温性が段違いに劣るのでおすすめはしませんが、カサカサ音と耐久性が気にならない人はそれでも良いと思います。準備しないよりずっといいです。
▼自分や同行者を救うことになるかもしれない。ポイズンリムーバーはこちら
それと、地味ながらレジャーシートとごみ袋も毎回入れています。どちらも100均の商品で十分。座って休憩をとりたいとき、座れる場所が濡れていたり汚れていたりすることはよくあるので、シートが1枚あるだけで休憩の質が変わります。私は特に虫が苦手なので、地面に直接座らないための虫対策も兼ねています。ごみ袋はごみの持ち帰りはもちろん、濡れた物を分けて入れる袋としても活躍します。軽いので入れっぱなしでOKです。
忘れがちな小物と、出発前のひと手間
最後に、忘れがちだけれど大事なことを3つ。はじめの2つはザックに入れる小物、3つ目は出発前の習慣です。
一つ目は小さい軽量財布。普段の財布は車に置いて、小銭と最低限のお札だけ移します。山のトイレはチップ制(100円玉)のところが多いので、小銭は多めが正解です。
二つ目は健康保険証のコピー。万が一、山でけがや体調不良になって下山後に病院へ駆け込むとき、保険証がないと医療費をいったん全額払うことになります。原本を持ち歩く必要はなく、コピーで十分。そしてここでひとつ、私のおすすめの工夫を——コピーの裏に、持病や飲んでいる薬をメモしておくんです。万が一自分が喋れない状態で発見されたとき、これが救助者への申し送りになります。紙1枚・0円でできる保険です。お薬手帳をお持ちの方は、最新のページをコピーして一緒に入れておくのもいいかもしれません。
三つ目は行き先の共有。登山届は出しましょう。登山口のポストのほか、最近はネットから出せる山域も増えています。私も出す場合がありますし、どんな小さな山でも「どの山に行くか」と「何時までに帰るか」を必ず身近な人に伝えてから家を出ます。「誰も行き先を知らない状態で山に入らない」——ここだけは徹底しています。
ついでに、家に置いていく装備の話も。
ツェルト(簡易シェルター)は持ってはいるのですが、日帰りでは置いていきます。登山前に必ず天気予報を確認して登るので、それでも突然の天候変化でビバーク級の事態になったら、SOLのシートで耐える想定です。
ホイッスルは単体では持っていませんが、サースフェーのチェストベルトのバックルが笛を兼ねているので、それで足りると判断しています。最近のザックには意外と内蔵されているので、買い足す前にお手持ちのザックを確認してみてください。
【ウェア】登山靴・肌着・防虫シャツ・帽子・レイン

続いて身につけるもののジャンルです。ウェアまわりで私が気にしているのは2つだけ。汗冷えと、防虫です。
おしゃれは二の次で、「汗をどう処理するか」「虫と日差しをどう防ぐか」が軸。実際に山で着ては買い替えを繰り返して、行き着いた組み合わせです。装備ごとに見ていきます。
登山靴:ローバー タホー プロ II GT WXL
▲私が使っているタホー プロ II GT WXL
三種の神器の二つ目、登山靴。私が履いているのはドイツの老舗ローバーのレザー登山靴です。選んだ一番の理由は足元の安定感。硬めのビブラムソールと足首のホールドで、ガレ場や木の根の段差でも足元がブレません。もともとレザーが好きというのもありますが、履き込んで革が馴染んできたときの足との一体感は、この靴でしか味わえない感覚だと思っています。
作りも日本人向けです。WXLは甲が低く幅が広い日本人の足型に合わせた木型(ラスト)で、つま先まわりはゆったり、靴紐を締めると甲はピタッとホールドされる設計。アッパーは厚さ2.5mmのヌバックレザー一枚革で、ソールを張り替えながら10年単位で付き合える堅牢さです。手入れするほど革に深みが出てくる「育てる靴」でもあります。
唯一欠点を挙げるとすれば、最初に履いたときに感じた硬さと重さ。正直「イマイチだったかな?」と思いながらも、買ったからにはもう少し使ってみようと履き続けていたら、革が足に馴染んできて——気づけば最高の相棒になっていました。
今では、足元の安心感だけは何年登っても妥協したくないと思わせてくれる一足です。歩き出せば重さより安定感が勝ちますし、整備された低山から岩場の続く高い山まで、どこにでも履いていけます。
ひとつ残念なお知らせもあります。このタホー プロ IIは2026年春に生産終了となりました。店頭・通販の在庫限りなので、気になっていた方は早めに実物を確認するのをおすすめします。
「最初の一足」なら、もう少し手頃なこのあたりが定番です。
- キャラバン C1_02S…「最初の一足」の代名詞。ミッドカット・防水・やわらかめで扱いやすい
- モンベル タイオガブーツ…国産で幅の展開が豊富。店舗でフィッティングしやすい
- メレル モアブ3 ミッド…とにかく履き心地がやわらかい世界的定番。ローカット版もある
- サロモン X ULTRA系…細めの足向き。軽快に歩きたい人に人気
日本人に多い幅広の足ならキャラバン・モンベル、細めならサロモンが合うといわれます。サイズは普段の靴より0.5〜1cm大きめが目安。下りで爪先が当たらないかを試し履きで必ず確認してください。靴だけは試し履きが正義です。
ベースレイヤー:ミレー ドライナミックメッシュ
▲私が使っているドライナミック メッシュ
綿のTシャツは肌に優しいのが良いところですが、山では汗を吸って乾かず、休憩のたびに体が冷えます。肌着を変えるだけで、登山の快適さは別物になります。ドライナミックメッシュは網目状のインナーで、単体で着るものではなく、上に速乾Tシャツを重ねて、汗を肌から物理的に引き離すための一枚。汗冷え対策の実力は定番中の定番です。
実は私も最初は疑心暗鬼で、長いこと肌着なしの速乾Tシャツだけで登っていました。ただ、速乾といっても乾くまでには時間がかかるし、その間は肌に張り付いて気持ち悪い。試しにこれを一枚仕込んでみたら、あの張り付きがなくなってとても快適になりました。もっと早く買っておけばよかったと思ったほどです。
夏のイメージが強い見た目ですが、実は冬もいけます。汗冷えがいちばん怖いのはむしろ寒い時期で、かさのあるメッシュが肌とウェアの間に空気の層を作ってくれるので、保温の面でも仕事をしてくれるんです。夏用と決めつけずに通年で使えるのは、値段以上の価値だと思います。
難点はひとつだけ。見た目のインパクトが強いので、山小屋などで人がいる場所で着替えるときは少し恥ずかしいです(笑)。
ほかの定番はこのあたり。
- ファイントラック ドライレイヤー…同じ発想の撥水メッシュ。汗冷え対策の専門ブランド
- モンベル ジオライン クールメッシュ…1枚で着られる速乾肌着の定番。まずはここからでも
- ワークマンの速乾インナー…千円台で試せる入門枠。まず化繊のよさを体感したい人に
防虫ウェア:ミレー インセクト バリヤー 長袖シャツ
▲私が使っているインセクト バリヤーの長袖シャツ
「着るだけで虫を遠ざける」ウェアです。私の虫対策は「視覚(おにやんま君)・薬剤(スプレー)・物理防御」の三段構えで、このシャツはその「物理防御」を担う三段目。肌の露出をシャツで減らして、その上からスプレーを重ねられるのも良いところです。
仕組みは接触忌避——生地に天然の除虫菊に似た成分(ペルメトリン)が加工してあり、服に止まった虫が成分を嫌がって、刺す前に逃げていくという理屈です。スプレーのように塗り直す手間がなく、洗濯を繰り返しても効果が続く耐久性も売り。長袖シャツは生地表面に凹凸のあるサラッとした織りで、汗をかいても肌に張り付きにくく、UPF50+の日差しカットも兼ねます。襟を立てて首元をガードできる作りも、虫の多い時期にはありがたいポイントです。
ただし、過信は禁物。当たり前ですが、効くのは服が覆っている部分だけで、露出した首や手には効果が及びません。そしてハチやアブのような大型の虫には効かないと公式も明記しています。だからこそ、露出部はスプレー・大型の虫にはおにやんま君と、三段構えで役割分担させているわけです。肌の露出を減らすこと自体が虫対策なので、真夏でも長袖派です。決して涼しいわけではないですが、長袖だから暑すぎるということもなく、それ以上に虫が来ないことを快適に感じています。
この分野は選択肢が少なめですが、他の候補はこちら。
- フォックスファイヤーのスコーロンシリーズ…防虫素材スコーロンの本家。シャツ・パーカー・パンツと展開が広い
- ワークマンの防虫ウェア…低価格枠。シーズンものなので夏前に要チェック
- インセクトシールド…防虫加工の老舗。Tシャツやアームカバーもある
帽子:ノースフェイス バーブキャップ
▲私がほぼ毎回かぶっているバーブキャップ
日よけはもちろん、つばにおにやんま君を留める台座としても働いてもらっています(笑)。バーブキャップはストレッチ素材で頭に吸い付くようなフィット感があり、撥水加工なので少しの雨なら気になりません。
実は雨用にカリマーのレイン3Lハット(防水透湿素材のレインハット)も愛用しています。
雨の日は頼れる一方で、つばの分だけ晴れの日は視界が少し狭く感じるので、率先してかぶろうとは思わず——天気予報を見て登る日を選ぶこともあって、出番はほぼバーブキャップです。雨の中でも歩く前提の人には、フードをかぶらずに視界を保てるレインハットは強い味方になります。
帽子の定番どころは、他にこのあたり。
- ノースフェイス ホライズンハット…首の後ろや耳まで日陰になるハット型の大定番
- モンベル ワイドブリムハット…つば広で日差しに強い。あご紐つき
- チャムス各種…デザイン重視派に。低山ハイクなら十分
レインウェア:ミレー ティフォン50000 ストレッチ ジャケット
▲私が使っているティフォン50000 ストレッチ
三種の神器の三つ目が、レインウェアです。山の天気は変わるので、晴れ予報でもレインウェアだけは絶対に置いていきません。防寒着も兼ねるので、荷物としては一人二役です。
ティフォンは透湿性50,000g/m²・24hというトップクラスの蒸れにくさと、レインウェアらしからぬ生地のやわらかさが持ち味。シャカシャカ・ゴワゴワが苦手な人ほど感動するタイプの一着です。
ポンチョを使っている方をたまに見かけますが、正直おすすめしません。風でバタついたり、蒸れて逆に中から濡れたりと、本末転倒になりがち。登山用のレインウェアは「濡らさない」と「蒸れさせない」を両立してくれる装備です。
定番としてよく名前が挙がるのはこの4つです。
- モンベル ストームクルーザー…長年の王道。2025年から自社素材化して22,000円と手が届きやすくなった
- ミズノ ベルグテックEX…上下セットで2万円弱。コスパの定番
- モンベル サンダーパス…登山ブランドの入門枠。上下23,200円
- ワークマン イナレム…上下5,500円。低山・防災兼用と割り切るなら十分という声が多い
【虫対策と補給】私の三種の神器と、水・行動食

さて、ここが私にとって絶対に削れないゾーンです。山が大好きな私ですが、お恥ずかしい話、虫が大の苦手でして。
世間の三種の神器がザック・靴・レインなら、私の中での三種の神器は、虫除けスプレー・ハッカ油・おにやんま君。どんな日帰りでも必ずザックに入っている3点で、ここは候補比較ではなく全部が現役の実戦装備です。
虫が大の苦手な私が徹底的に調べ上げた成分の違い(ディート・イカリジン・ハッカ油)や虫別の使い分けは、三段構えの虫対策としてこちらの記事で徹底解説しています。下のカードからどうぞ。

虫除けスプレー:スキンベープミスト プレミアム(ディート30%)
▲私の主力。ディート30%のスキンベープ
まずは主力の薬剤役。登山口の駐車場で車から降りてすぐ、全身に吹くのがルーティンです。
ディート30%は、市販の虫除けでは最高濃度クラス。
効果の持続が長いので、登り始めから下山まで、ベースの守りはこれ一本で足ります。
自作ハッカ油スプレー
続いて補助役。虫の多い樹林帯や沢筋で、その都度シュッと吹き足す用です。
材料費は約75円、作るのにかかる時間は5分足らず。
レシピと使い方はこちらの記事に詳しくまとめています。下のカードからどうぞ。

おにやんま君(サンライン正規品)
▲私が使っている正規品
そして視覚担当。帽子やザックに付けたり吊るしたりしている、オニヤンマ模型の虫よけグッズです。
効果の科学的根拠から、使い続けた体感まで。
別の記事でさんざん検証してきた、私の虫対策の顔役です。
「本当に効くの?」という疑問には、論文や専門家の見解を調べ尽くしたこちらの記事で正面から向き合っています。下のカードからどうぞ。

水と行動食【凍らせた麦茶が私の夏の定番】

飲み物は、凍らせた麦茶のペットボトルを持っていきます。家でいつも麦茶を沸かして作っているので、前日にペットボトルへ詰めて凍らせておくだけ。昼の休憩で飲む、半解けでキンキンに冷えた麦茶は最高です。
ちなみに最初は水筒を使っていたのですが、飲むまでにワンテンポかかって、歩きながら飲むには面倒で——ペットボトルに落ち着きました。サースフェーのサイドポケットに挿しておけば、歩きながらでもスッと取れます。
凍らせたボトルは溶けてくると水滴がつくので、気になる人は保冷タイプのペットボトルカバーを付けるのがおすすめ。私も付けていますが、結露で荷物が濡れるのを防げるうえ、氷も長持ちします。
それとは別に、予備の水を500mlほど。飲料用の予備としてはもちろんですが、傷を洗ったり、休憩でコーヒーを淹れる水にしたりと「何にでも使える水」として重宝します。
そして一番大事なのは、持っていく水やお茶の量です。目安としてよく紹介されるのが、「体重(kg)×行動時間(h)×5ml」という計算式。体重60kgの人が5時間歩くなら1.5L。汗の量は人によってかなり違うので絶対値ではありませんが、「今日の山に、手持ちの水で足りるか」を出発前に確かめる物差しとして便利です。
多いほうが安心なのは間違いありません。ただ、水は荷物の中でいちばん重い存在でもあります。そこでおすすめしたいのが、帰宅後に「どれだけ飲んだか」を記録すること。私は山の標高とその日の体調を◯△で、残った飲み物の量と帰宅時の疲労感を◯△×でメモして、山ごとに量を調整しています。狙うのは「ちょうどなくなる」より少し多め。何回か繰り返すと、自分の適量がはっきり見えてきます。
行動食は、プロテインバーのような栄養補助バーと、袋入りのラムネが定番で、他にもナッツや、汗を多くかく時期は塩タブレットなども持っていきます。甘い系なら羊羹やドライフルーツ。歩きながらつまめる個包装が便利です。
やめたものもあります。カロリーメイト系は喉がかなり渇いて余分に水分を飲むことになり、そのぶん荷物が重くなってしまうのでやめました。チョコも昔は持って行っていましたが、食べようとしたら溶けていて、食べたかったのに食べられなかったことがあったので、それ以来持っていくのを控えています。
昼食は、その日の気分や山と相談。低山をサクッと登る日は、休憩がてらバーナーでコーヒーを淹れるくらい。しっかり食べたい日は、毎週土曜にまとめて作っている冷凍弁当をそのまま持参したり、おにぎりの日もあります。バーナーと飯盒でパスタやカレーを作った日もあれば、お湯を沸かしてカップ麺だけの日も。料理が好きなので、ふだんから毎日自炊している流れで、山の食事も基本は手製です。
山ごはんは語り出すと1記事では足りない世界なので、道具やレシピの話はいずれ別の記事でじっくりやります。
それと、車で登山口まで行く人には「下山後セット」をおすすめします。車に置いておく着替え・タオル・スニーカーの3点です。汗だくのシャツを着替えて、登山靴から柔らかいスニーカーへ。フィット重視で固めた装備から少し余裕のある服装に変わる、あの解放感が最高なんです。ここまで含めて日帰り登山だと思っています。荷物はザックではなく車に積んでおくだけなので、重さのデメリットはありません。
ひとつだけ注意を。最近の夏は、車内がとんでもない温度になります。モバイルバッテリーを車に置き忘れると発火のおそれがあり、実際に事故も起きています。私も出発前に「バッテリーはザックに入れたか」を必ず確認するようにしているので、モバイルバッテリーを持っていく方はチェックを忘れないようにしてください。
逆に、持って行かないほうがいい持ち物

「何を持つか」と同じくらい大事なのが「何を持たないか」。初心者がやりがちな4つを挙げておきます。
①綿のTシャツ・ジーンズ。汗を吸って乾かず、気化熱で体温を奪い続けます。山の低体温症の入り口は雨より汗といわれるほどで、服装の中では一番のNGです。肌着を化繊に替えるだけで別世界になります。
②100均のポンチョ・ビニールカッパ。風でバタつき、蒸れて中から濡れます。「濡らさない」と「蒸れさせない」の両立が登山用レインの仕事。上下5,500円から買える定番があるので、代用でしのぐ場所ではありません。
③保冷なしの生もの(夏場)。夏の車内とザックの中は想像以上に高温です。お弁当やおにぎりを持っていくなら、真夏は保冷剤や保冷バッグとセットが安心です。
④鳴らしっぱなしの熊鈴。意外かもしれませんが、人の多いルートで鳴らし続けるのはマナーの面でも、自分の耳をふさぐ意味でも損です。鳴らしどころと消しどころを分けるのが正解です。
季節で変わる持ち物【春・夏・秋・冬】

基本の15点は年間を通して変わりません。ただ、他にも季節や山によってはいくつか追加して持っていくものがあります。ここでは季節ごとに簡単にまとめますね。
春:低山でも日陰に雪が残る時期は、軽アイゼンの携行が定石といわれます。私は残雪情報が出ている山は計画ごと見直す慎重派です。花粉と虫の走りにも注意。
夏:虫対策をフル装備にして、飲み物を1本増やします。かなり汗をかくので、タオルもいつもより多めに。私の装備がいちばん重くなる季節です。
秋:虫が減ってくるので虫対策は少し軽くして、代わりにミレーの薄手グリッドフリースを1枚追加。山の上は平地より気温がぐっと低く、汗が冷える秋の休憩は真夏より寒く感じることさえあります。日が短くなるぶん、ヘッドライトの重要度も上がります。
冬:低山でも日没が早く、凍結もあります。防寒とアイゼンの世界になるので、この記事の装備の延長では語れません。冬用の装備と知識がそろうまでは、冬山に無理に登らないのが一番です。
このほか、標高の高い山やバリエーションルート(一般登山道ではない上級者向けのルート)でも持ち物は増えますが、この記事は日帰り登山にスポットを当てているので、長くなるのでそこは省略します。
季節の切り替わりは、ザックのメンテのタイミングでもあります。洗うタイミングは「シーズンの節目」を合言葉にした洗い方と収納のコツはこちらの記事にまとめています。下のカードからどうぞ。

日帰り登山の装備でよくある質問

最初から全部そろえるべき?
いいえ。最優先は靴とレインウェアの2つです。この2つだけは安全に直結するので専用品を。ザックは手持ちのリュックで始めて、不便を感じてから買い替えても遅くありません。
私も一度に全部そろえたわけではなく、山に行くたびに「今日困ったもの」から順に買い足してきました。NGの章で綿やジーンズはダメと書きましたが、天気のいい日の短い低山なら、最初の1、2回はそこまで神経質にならなくて大丈夫。実は私も綿Tシャツとジーパンから登山を始めて、山が好きになってからどんどん装備を増やしていった口です。
ワークマンや安いもので代用しちゃだめ?
正直、全然良いと思います。ただ、物によります。ベースレイヤーや行動食まわりは安いもので十分。一方で、靴・レインウェアは「安くて良いもの」を探すより「定番」を選ぶほうが失敗しません。命を預ける装備と、快適さのための装備を分けて考えるのがおすすめです。
全部そろえると総額いくらくらい?
ざっくりの目安で、エントリーモデルでそろえるなら「三種の神器」(靴・レイン・ザック)で5万円前後です。ちなみに私の現在の使用品(サースフェー・タホー プロ・ティフォン)で三種の神器を計算すると9〜10万円ほど。最初からここまで必要はまったくなくて、エントリーの定番でそろえて、こだわりが出てきた装備から少しずつ上を見ていくのが健全だと思います(価格は変動します)。内訳をもう一度確認したい人は持ち物リスト全15点に戻って確認し直してください。
高いと感じるかもしれませんが、どれも消耗品ではなく数年単位で使う道具です。月1回ペースで数年使えば、1回あたり数百円の計算になります。逆に、ここをケチって山で寒い・痛い・濡れるを経験すると、登山そのものが嫌いになりかねません。最初の投資はこの3つに集中して、残りは徐々にが私のおすすめです。それに、そもそも山が好きな自分への「推し活」だと考えているので、高いと思ったことはないですね(笑)。
ストック(トレッキングポール)は必要?
必須ではありません。私は山ごとに決めています。登ったことのある山で「いらない」と分かっていれば持たない。初挑戦の山でも、前情報で比較的楽そうなら持たない。逆に、歩く時間が長い日や、あまり人の手が入っていない道は迷わず持っていきます。
微妙なラインの日は、保険として折りたたみ式のポールをザックに忍ばせておくスタイルです。使わなければそれでよし。下りで膝への負担が明らかに減る道具なので、膝に不安がある方には優先度高めです。
持つ・持たないの見極め方は、山ごとに決める4つの判断基準としてこちらの記事に詳しくまとめています。下のカードからどうぞ。

まとめ:装備は3ジャンルで考える。虫対策が1ジャンルなのがエイト流
日帰り装備15点のまとめ
- ギア:ザックは少し大きめの30Lが結局便利。
ヘッドライト・モバイルバッテリー・救急セットは日帰りでも必ず持つ - ウェア:汗冷えさせない化繊ベース+防虫シャツ+定番の靴とレイン
- 虫対策と補給:私の三種の神器(スプレー・ハッカ油・おにやんま君)と
水・行動食(水は自分に合った分量を) - 最初にそろえるなら靴とレインウェアの2つから
装備がひととおり決まっていると、前夜の準備が15分ほどで簡単に終わります。準備が軽くなると、山に行く回数が自然と増えます。それに、自分で徹底的に調べて選んだ道具で快適に登れたときは、本当に気持ちがいい。道具の力は、山の中だけでなく「行くまで」にも効いてくるんですよね。
登山ギアやウェアにもこだわっている私ですが、その中でも虫対策は本気の領域。まだの方は、まずスプレーから始めてみてください。
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Enjoy the mountains!



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