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クマスプレーは登山に必要?予防している人こそ持ってほしい理由と私の持ち方

クマスプレーを手に持って山道を歩く登山者の後ろ姿 ギア

こんにちは、やまエイト編集部のエイトです。

「クマスプレーって、登山に本当に必要?」——熊鈴はつけているし、出没情報も見てから山を選んでいる。そこまでやっているのに、1万円前後もするスプレーまで買うべきなのか。迷っている人は多いと思います。

私は登山を10年以上続けていますが、クマスプレーを持ち始めたのは2026年の春からです。それまでは、熊鈴と出没情報の確認だけで登っていました。

今は、クマの出る時期の山には必ず持っていきます。ただ、持っているから100%安心だとは思っていません。

先に結論からお伝えします。

結論【この記事の結論】

  • クマの出る山に登るなら、クマスプレーは必要
  • 熊鈴や出没情報は遭わないための予防。スプレーは遭ったあとの備え
  • 私の缶はUDAPの225g。推奨の噴射時間6秒に届かない
  • これから買うなら、噴射時間が約7秒のUDAP 260g
  • 私がつけているのは肩ベルトの胸の高さ。ザックの中では間に合わない
  • 私が持つのは4〜11月ごろ。万能ではないので過信しない

この記事では、私がクマスプレーを持つ理由と、自分の買ったクマスプレーを環境省の推奨要件に照らしてみた結果、つける位置、持つ時期、使い方と持ち運びの注意までを順に書きます。

私が持っているのは225gですが、推奨要件を読んで調べた今、すすめたいのは同じUDAPの260gです。今持っている缶を使い切るか、期限が切れ次第、260gを買う予定です。

▼いろいろ調べた結果、いまの私のイチオシはこのUDAP 260g

  1. クマスプレーは登山に必要?「いらない」と思う人に伝えたいこと
    1. 予防と、遭ったあとの備えは別物
    2. 備えあれば憂いなし
    3. そもそも、クマスプレーは効くのか?
    4. 「高い・荷物になる・使わない」は、そのとおりです
  2. 私がクマスプレーを買うまで:UDAPを選んだ決め手
    1. 迷った末に、コスパで選んだ
    2. 知識が足りないまま買ったのも事実です
  3. 環境省の推奨要件に、私のUDAP 225gは届いているのか?
    1. なぜ「6秒」なのか
    2. それでも今の缶を期限まで使う理由
    3. これから買うなら、同じUDAPの260g
  4. クマスプレーはどこにつける?私のつけ位置と失敗
    1. 最初は腰ベルトの前につけていた
    2. 今は肩ベルトの縦ストラップに固定
    3. ザックの中とサイドポケットは間に合わない
  5. クマスプレーはいつ持つ?グループでは誰が持つ?
    1. 春も秋も、被害の多い時期がある
    2. 持たないのは、クマのいない地域と冬眠の時期
    3. 日帰りの低山でも、クマのいる地域なら持ちます
    4. グループで登るとき、誰が持つかは決めていない
  6. クマスプレーの使い方と持ち運びで気をつけること
    1. クマを見つけたとき、スプレーの前にすること
    2. 噴いたことのない私が、頭に入れている使い方
    3. 実は、クマスプレーには練習用スプレーがある
    4. 車・バス・飛行機での持ち運びと、家での保管
    5. 使用期限と処分
  7. 登山のクマスプレーでよくある質問
    1. クマスプレーを持ち歩くのは違法になりませんか?
    2. 電車や新幹線で持っていけますか?
    3. クマスプレーは1回使ったら終わりですか?
    4. 目に入ったり、肌についたりしたらどうすればいい?
    5. レンタルはどこでできますか?
    6. 催涙スプレーなど、ほかの物で代用できますか?
    7. ヒグマにもツキノワグマにも同じスプレーでいいですか?
    8. クマスプレーの値段はどのくらいですか?
    9. クマスプレーはどこで買えますか?
    10. 冬の山にも持っていったほうがいいですか?
    11. クマスプレーを持っていれば、熊鈴はいらないですか?
  8. まとめ:クマスプレーは、予防している人こそ持っておきたい備え

クマスプレーは登山に必要?「いらない」と思う人に伝えたいこと

「熊出没注意」と書かれた黄色い看板

「クマスプレーはいらない」という意見、気持ちはよくわかります。私自身、これまで800回以上山に登ってきて、クマに遭ったことが一度もありません。気配を感じたこともないんです。数字だけ見れば「いらない派」の代表みたいな経歴だと思います(笑)。

登る前に出没情報を確認して山を選びますし、熊鈴もつけています。クマに遭わないための予防は、徹底しているつもりです。

でも、その「つもり」は、やっぱり「つもり」止まりなんですよね。

出没情報が出ていない山でも、それは「まだ誰も見ていないだけ」かもしれません。万が一、自分がその地域で最初の遭遇者になる可能性だってあるわけです。どれだけ調べて山を選んでも、そこだけは自分ではどうにもできません。

予防と、遭ったあとの備えは別物

私は、クマ対策を2つに分けて考えています。

遭わないための予防
・出没情報が出ている山には登らない
・熊鈴をつけて、こちらの存在を先に知らせる

遭ったあとの備え
・クマスプレー

熊鈴は、鳴らしていても遭ってしまったら何もしてくれません。逆にクマスプレーは、クマを遠ざける働きはありません。遭ってから使う物です。役割がまったく違うので、片方をしっかりやっているからもう片方はいらない、とはならないと思っています。

予防を徹底している人は、それだけクマのことを真剣に考えている人です。だから私は、予防をしっかりしている人こそ、遭ったあとの備えまで持っていてほしいと思っています。

予防の側の熊鈴については、2回失敗してたどり着いた付け位置の話と一緒にこちらの記事にまとめています。下のカードからどうぞ。

熊鈴はどこにつける?音がよく響く正解の位置と鳴らさないマナー
熊鈴はザックの外側・上のほうが基本です。ただし私は、ザックの上に付けて鳴っていなかったり、腰ベルトで脚に当たってやめたりと2回失敗しました。肩ベルトのDカンに落ち着くまでと、やりがちなNGポジション、鳴らしどころ、鳴らさないマナーまで。

備えあれば憂いなし

例えるなら、バイクのヘルメットです。

自分がどれだけ安全運転をしていても、相手からぶつかられる可能性はあります。「私は安全運転だからヘルメットはいらない」とは、誰も言わないですよね。どれだけ予防しても、万が一は残る。その万が一のために持つのがクマスプレーで、言葉どおり「備えあれば憂いなし」だと思っています。

そもそも、クマスプレーは効くのか?

ここは私がいちばん気になっていたので、調べてみました。環境省が2026年8月に公表した「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」によると、北米での運用実績を分析した研究では、適切なクマスプレーの噴射で90%以上の割合で、突進や攻撃といった望ましくない行動を止められたと報告されています。同じ資料には、1回1〜3秒の噴射でクマが向きを変えて離れていく例が多い、とも書かれています(出典:環境省)。環境省が人身被害の事例を分析した資料でも、クマに出会ってしまったときの正しい対処のひとつに、クマスプレーの使用が挙げられています。

一方で、同じ推奨要件には、一度離れたクマがもう一度近づいてきた例や、6秒以上噴き続けてやっと離れていった例も載っています。

高い確率で撃退できる。ただし、100%の保証はない。環境省の資料も、正しく使えば高い確率で危険の回避に有効だが、安全を100%保障する対処方法ではない、という言い方をしています。

買う前は「持っていないよりはいい」くらいに思っていたのですが、資料を読んで、思っていたよりずっと頼れる物なんだな〜と感じました。それでも残りの10%はあるので、過信はしません。

「高い・荷物になる・使わない」は、そのとおりです

いらないと言われる理由も、並べてみるともっともなものばかりです。

①1万円前後して高い
②缶ひとつ分、荷物が増える
③買っても、使わないまま期限が来るかもしれない

私も買ってから一度も噴射していませんし、このまま使わずに期限を迎える可能性のほうが高いはずです。荷物も確かに増えます。

ただ、使わなかったことを損だとは思っていません。非常時のために持つ装備は、使わずに帰ってこられるのがいちばんです。救急セットと同じ枠に入る物だと私は考えています。

私がクマスプレーを買うまで:UDAPを選んだ決め手

安全クリップ付きのクマ撃退スプレーの缶がずらりと並んでいる様子

私がクマスプレーを買ったきっかけは2つありました。一つ目は、クマによる被害のニュースが明らかに増えたこと。二つ目は、友人がクマスプレーを装備していたことです。

一緒に登ったとき、友人のザックにスプレーが付いているのを見て、「自分も装備しなければ」と思い始めました。

ニュースで見ていたときは、大変だな〜とどこか他人事のように感じていました。それが、身近な人が携帯し始めたことで、急に自分ごとになったんですよね。

迷った末に、コスパで選んだ

いざ買おうとすると、かなり迷いました。調べると上位に出てくるのは「カウンターアソールト」や「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー」といった定番です。どちらも評価は高いのですが、値段もしっかりします。この2つは、値段を見て見送りました。

そのとき私が考えていたのは、こうです。クマスプレーは、持っていれば完璧に撃退できるものではない。でも、持っていないよりはずっといい。だったら、ちゃんとした製品の中で、無理なく買えるものを選びたい。

そうやって探して見つけたのが、UDAPの熊撃退スプレー 225gでした。アメリカの環境保護庁(EPA)に登録されている製品で、缶にも登録番号の表記があります。アメリカでは、クマ用のスプレーはこの登録を受けて売られています。それでいて、私がAmazonで買ったときは約9,000円。先ほど挙げた2つと比べると、モンベルが扱う「フロンティアーズマン マックス」が1万2,000円台、「カウンターアソールト」が2万円前後なので、3,000円から1万円ほど安いことになります。ちゃんとした製品なのにコスパがいい。これが決め手でした。

届いて最初に出た感想は、「思っていたより大きいな〜」でした。実物は500mlのペットボトルと同じくらいの高さがあります。とはいえ、付属のホルスターに入れてザックにつけてしまえば、歩いている間に重さが気になることはありません。

知識が足りないまま買ったのも事実です

ただ、今ふり返ると、当時の私は知識が足りていませんでした。見ていたのは「評判のいいメーカーか」と「値段」くらいで、噴射時間が何秒か、どのくらいの距離まで届くかを、きちんと比べて買ったわけではありません。

そもそも私が買った時点では、国の目安がまだ出ていませんでした。環境省がクマスプレーの推奨要件を公表したのは2026年8月。買ってから数ヶ月あとのことでした…。

それで、自分の買ったクマスプレーを推奨要件と見比べてみました。

環境省の推奨要件に、私のUDAP 225gは届いているのか?

ノートのチェックリストにペンでチェックを入れている手元

下の表の項目で見比べた結果、私のUDAP 225gは噴射時間だけが推奨に届いていませんでした。

環境省の推奨要件は、国内にクマスプレーの規格がなく、対人用の催涙スプレーを「クマ用」と称する製品まで出回っていたことから、選ぶときの目安として作られたものです。主な項目と、私の缶を並べるとこうなります。

項目 環境省の推奨要件 私のUDAP 225g 判定
有効成分 カプサイシン類が1.0〜2.0%程度 2.0% ○
噴射距離 7.5m程度以上 12m ○
噴射時間 6秒程度以上 4秒 ×
噴射の形 霧状に広がる 霧状 ○
携行 腰や胸につける専用ケース 専用ホルスター付き ○

噴射距離と噴射時間は、私の缶に書かれている数字です。12mは大型バス1台ぶんくらいの長さで、推奨の7.5mは大きく超えています。

なぜ「6秒」なのか

推奨要件を読むと、6秒という数字には理由があります。クマは秒速11m以上で走ることができ、30m先にいても3秒かからずに目の前まで来ます。最初の章で見たとおり、6秒以上噴き続けてやっと離れていった例もあります。

つまり、1回で当たらなかったときや、もう一度向かってきたときに、やり直せる量が残っているか?という数字なんですよね。私の4秒だと、やり直せる回数が少ないことになります。

それでも今の缶を期限まで使う理由

では買い替えるのかというと、今の缶は使用期限まで持ち続けるつもりです。期限までは、まだ何年もあります。

4秒で十分だとは思っていません。推奨どおりにすべきだとも思います。ただ、6秒あっても必ず撃退できる保証はありませんし、当てられなければそもそも意味がありません(6秒は、その当て直しのための数字でもあるのですが)。すでに持っている缶を、期限が来る前に買い替えるほどではない、と私は思っています。

そのかわり、次に買い替えるときは、推奨要件に沿ったものを選びます。

これから1本目を買う人は、話が別です。最初から推奨に届いているものを選べば済みます。私の失敗が、少しでも誰かの役に立てばうれしいです。

これから買うなら、同じUDAPの260g

買い替えるなら何にするかを調べて、私が選んだのは同じUDAPの260gです。決め手は、中身の成分が今の缶と同じで、量が増えるぶん噴射時間も延びて、推奨要件をすべて満たすことです。

メーカーがアメリカの環境保護庁に登録しているラベルでは、260gは噴射時間が約7秒です。有効成分の濃度は2.0%、噴射距離は12m。私の225gより中身が35g多く、噴射時間が推奨の6秒を超えます。中身の差は、単3電池1本半くらいの重さです。

さらに大きい380gもあり、こちらは約9秒です。時間に余裕を持たせたい人にはこちらもありだと思いますが、私は持ち歩きやすさも大事にしたいので、260gを次の1本に決めています。

ついでに、UDAPというメーカーのことも調べました。創業者のマーク・マセニーさんは、1992年9月にモンタナ州のイエローストーン国立公園の北西で弓矢の狩猟中、子グマ連れのグリズリーに襲われた人です。顔と腕を噛まれ、同行者が持っていた対人用の小さなスプレーで撃退されて生き延びました。その経験から、クマ用に特化したもっと強いスプレーを作ろうと会社を立ち上げたのがUDAPです(出典:UDAP公式・創業者の手記)。缶のラベルにも「グリズリーの襲撃を生き延びた人が作った」と書かれています。

襲われた本人が作っているスプレー、というのは、私が選ぶうえでの安心材料のひとつになっています。それに、私もこのブログを、自分の経験をもとに良いものや役に立つことを伝えたくて書いています。自分の経験から事業を起こした創業者の話には、とても共感しました。これも、同じメーカーを選ぶ理由のひとつです。

買うときは、缶や商品ページに噴射時間と噴射距離の表示があるかを見て、自分の目で確かめてください。私は1本目を買うとき、ここを見ていませんでした。同じ失敗をしないでほしいと思っています。

▼噴射時間が約7秒の260g。私が次に買い替えるならこちら

クマスプレーはどこにつける?私のつけ位置と失敗

ザックの腰ベルトにホルスターでクマスプレーを装着した例

私は今、クマスプレーをザックの肩ベルト、胸の高さにつけています。ここに落ち着くまでに、一度つけ位置を変えました。

最初は腰ベルトの前につけていた

買ってしばらくは、ザックの腰ベルトの前側、調整用の紐のところにホルスターを挟んでいました。手を下ろせばすぐ届くし、ちょうどいいと思ったんです。

ところが、登りで足に当たるんですよね。段差で太ももを上げるたびに、缶の底がコツコツ当たる。1回1回は小さなことでも、何時間も続くとかなり気になります。

熊鈴を腰につけていた時期にも、足に当たるのが気になってやめたことがあります。腰からぶら下げた物が足に当たるのが、私はどうも苦手なようです(苦笑)。

今は肩ベルトの縦ストラップに固定

今の位置は、ザックの肩ベルトです。肩ベルトを縦に走っているストラップに、付属のホルスターごと通して、ガッチリ巻き付けて固定しています。チェストストラップの上下で挟むような位置です。

私は左の肩ベルトにつけて、右手で取り出します。ここに替えてから、足に当たることはなくなりました。歩いていても視界の端に缶が見えていますし、手を胸に持っていけば届く距離なので、取り出すまでの動きも短くて済みます。

熊鈴も肩ベルトにつけているので、スプレーは鈴と反対側の肩ベルトにしています。こうしておくと、缶と鈴が当たることもありません。

落としたことは一度もありません。ただ、ゆるんだことはあります。休憩でザックを下ろしたとき、ホルスターが最初の位置より少し下がっているのに気づきました。それからは、歩き出す前にホルスターを軽く引っ張って、動かないか確かめています。

ほかのザックのときも、つける位置はほぼ同じです。縦のストラップに通せそうにないザックなら、チェストストラップに直接つけます。

ザックの中とサイドポケットは間に合わない

環境省の推奨要件でも、クマスプレーは腰か胸につける専用の携行ケースで持つことが強くすすめられています。逆に、ザックの中やサイドポケットに入れるのはすすめられていません。ペットボトルホルダーで代用するのも、落ちたり安全クリップが外れたりするおそれがあるので、避けるべきとされています。

理由は単純で、間に合わないからです。30m先のクマが3秒かからずに来るのに、ザックを下ろして中を探す時間はありません。

私は、缶に付属していた専用のホルスターをそのまま使っています。歩いていて缶が抜けそうになったことはありませんし、取り出すときは上に引き抜くだけです。

腰か胸か、どちらがいいかは人によると思います。腰で気にならない人は腰でいいはずです。大事なのは、ザックを背負ったまま片手で取れる場所に、毎回同じ位置でつけておくこと。環境省の事例分析の資料にも、携帯する位置と取り出し方を事前に決めておくように、と書かれています。

もうひとつ、実際につけたまま登ってみて、不快感や違和感がないかも大事です。取り出しやすい位置でも、私のように何度も足に当たって気になってしまうと、せっかく買ったのにつけたくなくなってしまいますからね。

クマスプレーはいつ持つ?グループでは誰が持つ?

落ち葉が積もった秋の樹林帯の登山道

買ってまだ最初のシーズンですが、私がクマスプレーを持つのはだいたい4月から11月と決めています。クマのいる地域の山に、クマが動いている時期に登るときは必ず持ちます。

春も秋も、被害の多い時期がある

4〜11月というのは私の感覚で決めた期間で、全国どこでも同じ目安になるわけではありません。ただ、「秋だけ持てばいい」とは考えないでください。

環境省が人身被害の事例を分析した資料によると、被害が多い季節は、その年の出没状況によって変わります(出典:環境省)。

平常の年:春から初夏(5〜7月)に、クマの生息域での被害がピークになる
大量出没の年:秋(9〜11月)に、人の生活圏での被害が急に増える

春の山も秋の山も、どちらも気が抜けないということです。

持たないのは、クマのいない地域と冬眠の時期

逆に、持っていかないと決めている条件が2つあります。

①クマが生息していない地域の山(九州など)
②クマが冬眠している時期

クマのいない山に持っていっても、荷物が増えるだけなので持ちません。

ただ、最近は冬でも出没する例があります。「冬だから絶対いない」とは言い切れません。私は11月までと考えていますが、その年の出没状況によっては12月も携帯する可能性があります。地域の最新の情報を見て、少しでも気になるときは持っていってください。

日帰りの低山でも、クマのいる地域なら持ちます

最近の私の山行は日帰りが中心ですが、持つかどうかを山の高さや歩く時間では決めていません。見ているのは、その地域にクマがいるかどうかと、時期の2つだけです。

登る前には出没情報を確認します。直近で出ていれば、その山はやめて別の山にします。出ていなければ登りますが、そのときも熊鈴とクマスプレーは両方持ちます。出没情報がないことと、クマがいないことは別の話だからです。

出没情報は、自治体のサイトのほか、登山口の案内板やビジターセンターでも確認できます。前日にサイトで確認していても、当日、登山口でもう一度確認してください。サイトの更新が間に合っておらず、直前の目撃情報が登山口の案内板にしか出ていないことがあるからです。

グループで登るとき、誰が持つかは決めていない

私は一人で登ることが多いのですが、何人かで登るときに「誰が持つか」は特に決めていません。持っている人は持っていくし、持っていない人は持っていかない。安いものではないので、人に強制するつもりもありません。

ただ、誰かの1本をグループ全員が当てにするのは危ないと思っています。持っている人がクマのいちばん近くにいるとは限らないからです。せめて出発前に、誰が持っていて、どこにつけているかは共有しておきたいところです。

持っていない人や、年に数回しか登らない人には、レンタルをすすめることもあります。たとえばモンベルは、全国のモンベルストアでクマよけスプレーの貸し出しをしています。料金は3日間までで2,500円、以降は日数に応じて加算で、別に保証金12,000円を預けます(噴射せずに返せば戻ってきます)。受け取りと返却は店頭で、予約は利用日の2ヶ月前から3日前まで(出典:モンベル)。まず一度持ってみたい人にも、買うより現実的です。

レンタルで一度持ってみて、つける位置や重さの感覚が分かってから自分の1本を買う、という順番もいいと思います。

クマスプレーの使い方と持ち運びで気をつけること

草地で練習用のクマスプレーを噴射しているデモンストレーション

前述のとおり、私はまだ噴射したことがありません。この章の使い方は、公的機関の案内とメーカーの説明を読んで、私が頭に入れている内容です。実際に使うときは、持っている製品の説明書に従ってください。

クマを見つけたとき、スプレーの前にすること

スプレーを使うのは、クマがこちらに向かってきたときです。その前の段階の行動として、環境省の事例分析の資料には次のことが挙げられています。

①慌てず、ゆっくり移動する
②大声や音で威嚇しない。物を投げない
③背中を見せて走らない
④ザックを置いて逃げない(中に食べ物があると、餌付けになってしまう)

スプレーも使えず襲われそうなときは、うつ伏せになって首の後ろを両手で守る姿勢をとる、とされています。同じ資料によると、けがをした部位の77%は頭部で、ヘルメットやザックが頭と背中を守ってくれるそうです。ザックを背負ったままでいることにも意味があるわけです。

噴いたことのない私が、頭に入れている使い方

消費者庁・環境省・国民生活センターが連名で出している「クマ撃退スプレーの備え方」に、使うときのポイントがまとまっています(出典:消費者庁)。

①噴射する距離の目安は5〜10m。製品の噴射距離を考えて、届く距離まで引き付ける
②顔(目と鼻)を狙う
③1〜3秒の噴射を、複数回できるようにしておく
④できるだけ風上から噴く。風下では自分にかかる

ここまでの内容で、とっさのときに私が思い出したいのは3つです。走らない、ザックを下ろさない、スプレーは引き付けてから。

遠すぎる距離で噴いても届きません。とはいえ、向かってくるクマを10mまで待てるのか?

正直、自信はありません。

遭遇したら、どうにもならないかもしれないと思っています。なんとかクマスプレーで逃げてくれないかな〜、というのが本音です。それでも、何も持っていなければ、できるのは身を守る姿勢をとることだけになります。その前にもう1つ、やれることを増やしておきたい。私がクマスプレーを持つのはそのためです。

実は、クマスプレーには練習用スプレーがある

環境省の推奨要件では、練習用スプレーを使って、安全クリップを外す・構える・噴射するまでを練習しておくことがすすめられています。逆に、実物を試しに噴くのはすすめられていません。誤って浴びる危険があるのと、ガスが抜けて本番で飛ばなくなるおそれがあるからです。

今回調べて初めて知ったこともあるのですが、私は練習用スプレーを買っていません。買ってまで練習するほどではないかな〜、と思っているからです。安全クリップの外し方とトリガーの位置は、実物を手に持って確かめてあります。

ただ、手順を知っていることと、急な場面で体が動くことは別です。ここは私の足りていないところなので、練習用で一度やってみるのもいいかもしれません。

車・バス・飛行機での持ち運びと、家での保管

移動中の扱いは、手段によって変えています。

車のとき:前日からザックに付けたままにして、そのまま積みます。ただし夏の車内に置きっぱなしにはしません。メーカーのラベルにも、高温になる車内や直射日光の当たる場所に置かないように、と書かれています。高温で破裂するおそれがあるからです。

バスのとき:ザックの外には付けず、中に入れておきます。登山口に着いて準備するときに、肩ベルトに付けます。消費者庁の資料でも、公共交通機関ではカバンの中にしまうよう案内されています。環境省の推奨要件には、新幹線の車内で荷物棚から取り出そうとして誤って噴射した例も載っています。

飛行機:消費者庁の資料のとおり、機内への持ち込みも預け入れも禁止です。飛行機で遠征する人は、現地でレンタルするのが現実的です。

家での保管:山に行かない日は、ザックに付けたまま、直射日光の当たらない室内に置いています。メーカーのラベルでも、涼しく乾いた、子どもの手の届かない場所に保管するよう書かれています。

使用期限と処分

クマスプレーには使用期限があります。中身の成分もガスの圧力も年数とともに弱くなるので、期限が切れたものは本番で性能が出ないおそれがあります。

私はまだ買い替えも処分もしたことがありません。同じ資料では、中身を空にしてから自治体のルールに従って捨てる、とされています。中身が残っている場合は、手袋・マスク・ゴーグルなどで肌を出さないようにして、水を入れたバケツの中で噴射する方法が案内されています。

登山のクマスプレーでよくある質問

虫眼鏡とQ&Aの文字

クマスプレーを持ち歩くのは違法になりませんか?

登山でクマ対策として持つのは、正当な理由にあたると私は理解しています。ただ、街中で理由もなく持ち歩くと、軽犯罪法(正当な理由なく、人に重大な害を加えうる器具を隠して携帯すること)に触れるおそれがあります(参考:軽犯罪法)。正当な理由があるかどうかは、そのときの状況で判断されるものです。クマスプレーは対人用の催涙スプレーより強力な物なので、同じ感覚で街中に持ち歩くと、違法になる可能性は高いと思っておいたほうがいいです。

私は登山の行き帰り以外では持ち歩きません。心配な場合は、警察の相談窓口に確認するのが確実です。

電車や新幹線で持っていけますか?

持ち込めるかどうかは鉄道会社の決まりによるので、乗る前に各社の案内を確認してください。持っていく場合は、ザックの外に付けたままにせず、中にしまっておきます。公的な資料でも、公共交通機関ではカバンの中にしまうこと、人の多い場所で取り出さないことが案内されています。私もバスで行くときは、登山口に着くまでザックから出しません。

クマスプレーは1回使ったら終わりですか?

一度でも噴いた缶は、次の山には持っていかないのが原則です。消費者庁の資料でも、使いかけのスプレーは原則使わないこととされています。残りの量が分からず、1〜3秒の噴射を何度か繰り返せる保証がないからです。試し噴きをしてしまった缶も同じ扱いになるので、注意してください。

目に入ったり、肌についたりしたらどうすればいい?

大量の水で洗い流します。UDAPのラベルには、目に入ったら15〜20分かけて水で洗い、医師などに相談するように、と書かれています。製品によって案内が違うこともあるので、自分の缶の応急処置の欄を一度読んでおいてください。

レンタルはどこでできますか?

いちばん使いやすいのはモンベルの店頭レンタルだと思います。全国約150店舗で借りられて、3日間までは2,500円。保証金12,000円を預け、噴射せずに返却すれば保証金は戻ってきます。自宅への送付はなく、店頭での受け渡しだけです。ほかに、宿泊先などへ送ってくれる事業者もあります。料金や予約の条件は事業者ごとに違うので、申し込む前に案内を確認してください。借りるときも、買うときと同じように、噴射距離と噴射時間の表示を見ておくと安心です。

催涙スプレーなど、ほかの物で代用できますか?

代用はできません。環境省の推奨要件では、対人用の催涙スプレーをクマ用と称する製品が出回っていることが、注意点として挙げられています。対人用は、成分や噴射の形など、求められる性能や設計がクマ用と違います。クマ用として作られた製品を選んでください。

ヒグマにもツキノワグマにも同じスプレーでいいですか?

環境省の推奨要件は、ヒグマとツキノワグマの両方を対象にしています。カプサイシンへの感じ方に、2つの種で差は確認されていないためです。北海道に行くからといって、別の基準で選び直す必要はありません。

クマスプレーの値段はどのくらいですか?

クマ用として作られた製品は、1万円前後から2万円前後のものが多いです。高く感じる気持ちはよくわかります。年に数回しか持ち出さないなら、レンタルと比べてみるのもいいと思います。

クマスプレーはどこで買えますか?

登山用品店や、通販で買えます。私はAmazonで買いました。どこで買うにしても、クマ用と明記されていること、成分・噴射距離・噴射時間の表示があること、使用期限が十分残っていることを確認してください。届いたらまず期限を見て、スマホのカレンダーなどに入れておくと、気づいたら切れていたということがありません。

冬の山にも持っていったほうがいいですか?

クマが冬眠している時期は、基本的に持っていかないつもりです。ただ、冬でも出没する例はあるので、地域の情報を見て気になるようなら持っていきます。もうひとつ、消費者庁の資料によると、低温ではガスの圧力が下がって噴射距離が短くなるそうです。冬は、夏と同じ距離まで届くとは思わないほうがよさそうです。

クマスプレーを持っていれば、熊鈴はいらないですか?

熊鈴もいります。クマスプレーは遭ったあとの備えで、クマを遠ざける働きはありません。遭わないための熊鈴と、遭ったときのスプレー。役割が違うので、私は両方持って登っています。

「スプレーで1万円近く使うのに、熊鈴まで買うの?」と思う人もいますよね。熊鈴は数百円から3,000円弱の物が多いとはいえ、お守りの鈴や100均の鈴で代用できないか気になるところだと思います。熊鈴と普通の鈴は何が違うのか、代用できるのかはこちらの記事にまとめています。下のカードからどうぞ。

熊鈴と普通の鈴の違いとは?お守りや100均の鈴で代用できるのか
熊鈴と普通の鈴の違いを音量・音の通り・鳴りやすさ・消音機能の4点で解説。お守りの鈴・猫の鈴・100均の鈴で代用できるのか、熊鈴がどこで買えるかまでまとめます。

まとめ:クマスプレーは、予防している人こそ持っておきたい備え

まとめ【登山のクマスプレーまとめ】

  • クマの出る山に登るならクマスプレーは必要。熊鈴や出没情報の確認は遭わないための予防で、スプレーは遭ったあとの備え。役割が違う
  • 私の缶はUDAPの225g。缶の表示は噴射時間4秒で、環境省が推奨する6秒程度以上に届かない。期限までは使い、次は260gに買い替える
  • これから買う人にも、噴射時間が約7秒のUDAP 260g。成分と噴射距離は225gと同じ
  • 私がつけているのは肩ベルトの胸の高さ。腰ベルトの前は足に当たってやめた。ザックの中とサイドポケットは間に合わない
  • 私が持つのは4〜11月ごろ。クマのいない地域と冬眠の時期は持たないが、冬でも気になるときは持つ。万能ではないので過信はしない

街中でもクマに襲われる事故が起きているのに、私たちは危険を承知のうえで山に登ります。それくらい山が好きだからです。
だからこそ、遭わないための予防はしっかりやって、そのうえで万が一の備えも持っておく。クマスプレーは、使わないまま期限を迎えるのがいちばんいい装備です。それでも私は、これからもクマの出る時期の山には必ず持っていきます。

▼これから買う人に、私がいちばんすすめたいUDAP 260gはこちら

Enjoy the mountains!

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