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登山の行動食|私の定番5つと、やめた2つ(カロリーメイト・チョコ)の理由

岩場に座って行動食を口に運ぶハイカー ギア

こんにちは、やまエイト編集部のエイトです。

登山の行動食、何を持っていけばいいのか迷いますよね。「おすすめ」を検索すると、ナッツだ羊羹だエナジージェルだと候補がずらりと並んでいて、どれから手を付ければいいのか分からなくなる。迷うのも無理はないと思います。

私は登山歴10年以上、通算800回以上の山行を重ねてきて、行動食の中身はだいぶ入れ替わりました。今の定番は5つ。そして、昔は持っていったけれどはっきりした理由があってやめた物が2つあります。カロリーメイトとチョコレートです。

この記事では、その定番5つとやめた2つを理由つきで公開しつつ、行動食の役割・量の目安・塩分補給・季節の注意・コンビニで買える定番まで、行動食まわりを一通りお伝えします。

先に結論からお伝えします。

結論【この記事の結論】

  • 行動食の役目は「糖質を切らさないこと+腹持ち」
  • 空腹になってから食べるのでは遅く、お腹が空く前に少しずつ口に入れるのが基本
  • 私の定番では、すぐ効く糖質はラムネと羊羹、腹持ちはプロテインバーが担当
  • 私の定番は①プロテインバー ②ラムネ ③羊羹・ドライフルーツ ④塩タブレット(夏だけ)⑤ナッツの5つ
  • 日帰り1回の基本セットはバー2本・羊羹2本・ラムネ1袋の5個
  • やめたのはカロリーメイト。喉が渇いて飲み物の減りが増えるから
  • やめたのはチョコレート。夏に溶けて手にべったりついたから
  • 行動食は「栄養が優れている物」より、山の上で食べやすい物が正解に近い、というのが私の実感

この記事を読めば、行動食の選び方の軸と、自分なりの「定番セット」を組むための材料がそろいます。

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  1. 登山に行動食が必要な理由と、必要な量の目安
  2. 私の行動食の定番5つ
    1. ①プロテインバー|ほぼ毎回の主力
    2. ②ラムネ|歩きながらつまめる即効の糖質
    3. ③羊羹・ドライフルーツ|甘い系はこの2つ
    4. ④塩タブレット|夏だけ加わる新入り
    5. ⑤ナッツ|ストックがあれば持つ、いちばん軽い枠
    6. 定番5つで1回いくらかかるか
  3. やめた2つ:カロリーメイトとチョコレート
    1. カロリーメイトをやめた理由:とにかく喉が渇く
    2. チョコレートをやめた理由:夏に溶けて手にべったり
  4. 登山の塩分補給の考え方|塩タブレット1粒の塩分量
  5. 季節で変わる注意点|夏は溶ける、冬は凍る
    1. 夏:28℃を超えるとチョコ系は覚悟が要る
    2. 冬:水分の多い物が固くなる
  6. 行動食の持ち方と食べるタイミング|私の運用
    1. 置き場所はザックの腰ベルトポケット
    2. 食べるタイミングと持つ量
  7. コンビニで買える登山の行動食の定番【調査まとめ】
  8. 登山の行動食のよくある質問
    1. 行動食は何kcal持てばいいですか?
    2. 朝ごはんをしっかり食べれば行動食はいりませんか?
    3. 行動食を1つだけ持つなら何がいいですか?
    4. ラムネだけでも行動食になりますか?
    5. 塩タブレットは1日何粒まで食べていいですか?
    6. カロリーメイトは登山に向いていないんですか?
    7. 行動食が余ったらどうすればいいですか?
    8. プロテインバーは太りませんか?
  9. まとめ:行動食は「山の上で食べやすいか」で選ぶ

登山に行動食が必要な理由と、必要な量の目安

白い背景に置いた2本のプロテインバー

行動食は「おやつ」ではなく、歩き続けるための燃料です。ここを押さえておくと、何を選ぶかの軸が一気にはっきりします。

登山は数時間から丸一日続く有酸素運動で、体は糖質(炭水化物)と脂質を併用して動き、ペースが上がるほど糖質の比率が上がります。厄介なのは、この糖質を体に蓄えておける量が少ないこと。強度の高い運動では体内の糖質は数時間と持たずに底をつく、と一般に言われています。登山のペースならもう少し持ちますが、朝ごはんの分だけで一日を歩き切れる量ではない、と考えておけば十分です。

そこで糖質が切れると起きるのが、いわゆるハンガーノック(シャリバテ)。岩崎元郎さん監修の『登山の教科書』(JMIA登山インストラクター・水上宏一郎さん著)の解説では、血糖値が下がって急にひどい空腹感に襲われ、全身に力が入らず動けなくなる状態と説明されています。予防の基本は「お腹が空かないうちに前倒しで食べる」こと。同じ解説では最低でも2時間に1回は補給するよう勧められています。

で、どれくらい持てばいいのか。

ここには目安になる式があります。鹿屋体育大学の山本正嘉さんの簡易式としてよく紹介されている、消費エネルギー(kcal)=体重(kg)×行動時間(h)×5というものです。たとえば体重65kgの人が6時間歩くと、65×6×5=約1,950kcal。ザックの重さまで体重に足して見積もる流儀もあり、7kgのザックなら72×6×5で約2,160kcalになります。そのうち7〜8割ほどを、当日の朝ごはんと行動中とで補うのが目安とされています。

とはいえ、この数字を全部行動食でまかなうわけではありません。朝ごはんと昼食の分もあります。私自身は合計のカロリーを計算しているわけではなく、ラムネを1時間くらいを目安に数粒、休憩でバー、という「切らさないペース」の方を大事にしています。

参考までに、私の基本セット(バー2本・羊羹2本・ラムネ1袋)を下の表の商品で足すと約720kcalです。これは昼食とは別枠の行動食の分で、誰が持っても足りる量という意味ではありません。行動時間や昼食の量に合わせて足し引きしてください。

そして、量を考えるときにもう一つ効いてくるのが重さです。行動食は全部背負って登るので、同じカロリーなら軽いほど楽。ここで「1gあたり何kcalか」と「同じ300kcalを持つのに何g要るか」を一度見ておくと、選び方がかなり具体的になります。

品目 基準量 エネルギー 1gあたり 300kcal分の重さ ひとこと
アーモンド(いり・無塩) 100g換算 608kcal 約6.1kcal 約49g 同じカロリーなら表の中で最も軽い。脂質が多く即効性は低め
1本満足バー プロテインバイタリティ ベイクドカカオ 1本45g 243kcal 約5.4kcal 約56g たんぱく質10g入り・よく買うチョコ系の現行品
カロリーメイト ブロック 4本80g 400kcal 約5.0kcal 約60g 1本100kcalで計算しやすい
森永 大粒ラムネ 1袋41g 154kcal 約3.8kcal 約80g ぶどう糖主体・食塩0g
干しぶどう 100g換算 324kcal 約3.2kcal 約93g 水分を含む分やや重い
井村屋 片手で食べられる小さなようかん 1本15g 39kcal 約2.6kcal 約115g 押すだけで出る・私の定番

※各社公式サイトおよび文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」の数値から算出(2026年10月時点)。1gあたりは小数第2位を、300kcal分の重さは小数第1位を四捨五入。

表を見ると、ナッツやカロリーメイトのような脂質が多い物ほど、同じカロリーを軽く持てる、ラムネや羊羹のような糖質の塊は重い、という傾向が見えると思います。表には出ませんが、こちらはその分すぐ効く物です。どちらが正しいではなく、役割が違うだけです。私の定番5つも、結果的にこの両方が混ざった組み合わせになっています。

私の行動食の定番5つ

瓶から出したラムネ菓子

10年以上いろいろ試して、最後まで手元に残ったのがこの5つです。日帰り1回に持つ量は、バー2本・羊羹2本・ラムネ1袋の5個が基本で、あとはその日の気分で足し引きしています。夏はここに塩タブレットが加わり、ナッツは家にお徳用のストックがあるときに持っていく、という形です。

①プロテインバー|ほぼ毎回の主力

私の行動食の軸はプロテインバー系です。持っていくのは一本満足バーのベイクド(焼き菓子)タイプで、プロテイン入りの物が中心。ただ「これ」と銘柄を決めているわけではなく、チーズ系・バナナ系・チョコ系あたりをその日の気分で選んでいます。1本で240kcal前後あり、基本セットの5個のうち2本はこのバーで、食べるのは休憩中です。

糖質の補給だけならラムネや羊羹の方が速いのに、このバーを主力にしている理由はいくつかあります。いちばんは夏でも溶けない・冬も凍らない・ベタつかないこと。つまり食べやすいからです(チョコで失敗した苦い思い出は後の章で)。あとは腹持ちがいいこと、山へ行く途中のコンビニで気軽に買えることなど、食べやすさ以外にもいい点が多いからです。

それと、前提として種類が豊富で味に飽きがこないのも大きいです。飽きたら別の味にすればいいだけなので、気づけば長く主力の座にいます。

数字を出しておくと、よく買うチョコ系の現行品のプロテインバイタリティ ベイクドカカオは1本45gで243kcal・たんぱく質10g(公式サイトより)。糖質は12gなので、糖質の補給源としては控えめです。だからこそすぐ効く糖質はラムネと羊羹、腹持ちはバー、という分け方になります。1gあたり5.4kcalで、行動食の中では軽い部類です。

ベイクドタイプにこだわっているのも、この「溶けない」が理由で、チョコで覆ったタイプは夏に溶けるからです。たとえばinバーのクランチチョコのような物は、山では選びません。腰ベルトのポケットは体に近く日も当たりにくい場所ですが、それでも夏のチョコがけは信用していません。

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②ラムネ|歩きながらつまめる即効の糖質

もう一つの定番がラムネ。プロテインバーが腹持ちのための物なら、ラムネはすぐに糖質を摂取するための物です。

ラムネの主原料はぶどう糖で、これは体がそのまま燃料として使える糖の形。噛まなくても口の中で溶けるので、歩きながら食べられます。私は1時間くらいを目安に数粒、足を止めずに口に放り込んでいます。この手軽さが、ラムネを手放さない理由です。ただ、食べるために足元から目を離すのは別の話なので、足場の悪い所では立ち止まってから口に入れてください。

銘柄にこだわりはなくて、コンビニに売っているような有名な物を選んでいます。数字を確認しておくと、たとえば森永の大粒ラムネは1袋41gで154kcal、食塩は0g(公式サイト・2026年10月時点)。カロリーだけ見ると小さいのですが、私は効き方の速さで選んでいます。足りるかどうかは量と行動時間しだいなので、腹持ちは別の物で補います。塩は別の物で取る前提になります(これは後の章で)。

持ち方は、買ってきたラムネを小さなジップロックに移し替えるだけ。なので元の商品が袋でもボトルでも気にしていません。移し替えてしまえば山で出るゴミがゼロで、包み紙が残るバーや羊羹にはないラムネの強みです。それに、ジップロックは減ったら減った分だけ小さくなります。腰ベルトのポケットは狭いので、中身が減るほどぺたんこになってくれるのは、私の運用では地味に効くところなんです。

▼私が持っていくラムネはこちら

③羊羹・ドライフルーツ|甘い系はこの2つ

甘い系は羊羹とドライフルーツです。チョコをやめるときに行動食を一通り調べ直して、代わりに持つようになったのがこの2つ。甘い物が欲しくなったときに手が伸びるのは、今はこちらです。

羊羹は井村屋の「片手で食べられる小さなようかん」です。1本15gの小さなパッケージで、ハサミを使わずにぎゅっと押すだけで中身が出てくるので、歩きながらでも手がべたつきません。基本セットでは2本持っていて、食べるタイミングはざっくり2〜3時間ごと、「疲れてきたな〜」と思ったときです。夏の暑さでは溶けません。弱点は暑さではなく寒さの方で、冬はかなり固くなって押しても出てこなくなるので、冬に持つなら体に近いポケットに入れて温めておく必要があります(詳しくは季節の章で)。数字は1本39kcal(公式サイトより)。小さいぶん1本のカロリーは控えめで、「疲れたときに1本」をこまめに入れる使い方に向いています。

ドライフルーツはデーツ・レーズン・マンゴー・バナナ・イチジクあたりを日替わりで。噛みごたえがあって、口が寂しいときに少しずつ食べられるのがいいところです。ミックスナッツと混ぜて、自作のトレイルミックスにして持つこともあります。柿の種を入れるときは普通の味です。私が好きなわさび味の柿の種で作ったこともあるのですが、さすがに合いませんでした(笑)。

▼私が定番にしている井村屋の小さなようかんはこちら

④塩タブレット|夏だけ加わる新入り

塩タブレットは、私の行動食の中ではいちばんの新顔で、持つのは夏だけです。持ち始めたきっかけは、最近の夏が暑すぎること。年齢もいい年になってきて、さすがに危機感を覚えたんです。銘柄にこだわりはなく、これもコンビニに売っているような有名な物を選んでいます。

塩分を別枠で考える必要があるのは、数字を見れば分かります。私の夏の飲み物は、予備の水筒の水500ml、自分で沸かした麦茶のペットボトル2本、それにアミノバイタル(粉末の「クエン酸チャージ ウォーター」を水に溶かした物)1本が基本です。水と麦茶からの塩分はほぼゼロで、塩分が入っているのはアミノバイタルの1本だけ(食塩相当量0.7g)。酷暑の予報が出た日は、アミノバイタルか麦茶の1本を念のため経口補水液に替えます。行動食の方も、大粒ラムネは食塩0g、プロテインバーも1本0.3g程度(例:1本満足バー プロテインバイタリティ ベイクドカカオで食塩相当量0.28g・公式サイトより)。全部足しても、夏に流れる汗の量には届きません。だから汗を多くかく日ほど、塩タブレットで意識して足しています。タブレットでなくても、梅干しや塩昆布、おにぎりの塩気で代わりにする手もあります。塩タブレット1粒の塩分量と、どのくらい食べれば目安に入るのかは、この後の塩分補給の章でまとめます。

⑤ナッツ|ストックがあれば持つ、いちばん軽い枠

最後はナッツ。これは毎回ではなく、家にストックがあるときに持っていく枠です。

先ほどの表のとおり、ナッツは1gあたり約6kcal、同じ300kcalを持つなら約49gで済み、表の中ではいちばん軽く、行動時間が長い日ほどありがたい存在です。ただ脂質が多いぶん即効性は低めで、私が持つ理由は軽さと腹持ちの方です。持つのは長時間の歩行や縦走、テント泊のように軽さと腹持ちが効く日がメインですが、片手で手軽につまめるので低山でも持つことがあります。毎回持たないのは、ナッツを登山用に買っているわけではないからです。お徳用をまとめ買いして家で食べているので、そのストックがあるときだけ山にも回す、という感覚です。例外はトレイルミックスを作って持っていきたいときで、そのときだけはそれ用に買うこともあります。

定番5つで1回いくらかかるか

5つそろえると高くつきそうに見えますが、1回分に直すとそうでもありません。店頭やネット通販で見かける価格帯をもとに計算してみます。価格は時期や店で変わるので、あくまで目安として見てください(2026年10月時点)。

プロテインバーは1本150〜200円前後、大粒ラムネは1袋100円前後です。片手で食べられる小さなようかんは、7本入りの袋を1本あたりに割ると50〜70円ほど。塩タブレットは1袋200〜300円で20粒以上入っているので、1回に数粒なら数十円。ナッツは小袋1つで100〜150円前後です。

私の基本セット(バー2本+羊羹2本+ラムネ1袋)で、1回あたり600円前後。ザックや靴と比べれば、行動食は装備の中でいちばん財布に優しい部類です。

買い方は、基本はネット通販のセールのときにまとめ買いです。コンビニは手軽ですが、毎回コンビニでそろえると割高になるので、バーやようかんのように箱やセットで売っている物は、ネットでまとめて買う方が安く済みます。ラムネやドライフルーツは小分けにして持つので、都度買いはあまりしません。例外は一本満足バーで、ストックにない味や新作を試したいときは、山へ行く途中のコンビニで買うこともあります。

やめた2つ:カロリーメイトとチョコレート

割った板チョコレート

定番より、こちらの方が参考になる人が多いかもしれません。どちらも登山の行動食として定番中の定番で、私も昔は普通に持っていました。やめたのは、山の上で食べにくかったからです。

カロリーメイトをやめた理由:とにかく喉が渇く

カロリーメイトをやめたきっかけは、飲み物の量の記録でした。私は山で飲んだ量を自分なりに統計にしているのですが、始めてみると、カロリーメイトを食べた日は飲み物の減りが明らかに多い。そこで初めて、食べている途中と、特に食べた後に喉がものすごく渇いていることに気づいたんです。

カロリーメイト自体は、登り始めた最初の頃に2〜3年ほど、行動食の定番にしていました。当時は「緊急時の栄養補給はカロリーメイト一択」くらいに思っていたんですよね。1本100kcalで計算しやすく、4本で400kcalが80gに収まる。数字だけ見れば行動食としてかなり優秀です。

やめたのは、この喉の渇きのせいで飲み物の減りが大幅に増えるからです。味はおいしいんですけどね。それでも、山で喉が渇くのは私には決定的でした。喉が渇けば持っていく飲み物の量が増えるので、行動食そのものは軽くても、飲み物を含めた総重量はかえって重くなるからです。

念のため書いておくと、これは製品が悪いという話ではまったくありません。家や職場で食べる分には優秀な食品ですし、休憩で腰を下ろして飲み物と一緒にゆっくり食べる人には、今も有力な選択肢だと思います。私には喉の渇き方が合わなかった、という感想の範囲の話です。

この経験のあと、行動食を選ぶときは「その行動食のせいで水分の摂取が大幅に増えないか」を先に見るようになりました。一本満足バーも食べれば多少は喉が渇きますが、カロリーメイトに比べれば軽微で、飲み物の減りが気になるほどではありません。

チョコレートをやめた理由:夏に溶けて手にべったり

チョコは軽くて高カロリーで、山では長らく行動食の王道です。私も昔は持っていました。

でも夏の山でいざ食べようと取り出したら、溶けていて食べられなかった。しかも手で取り出そうとしたらべったり手について、その後処理まで面倒でした。山では手を簡単に洗えません。食べたかったのに食べられない、おまけに洗えない手の始末まで要る。それ以来、持っていくのをやめました。

調べてみると、チョコは28℃前後で溶け始め、ミルクチョコレートなら29℃〜が目安とされています(ウェザーニュースの解説より)。ココアバターが人の体温に近い温度で溶ける性質のおかげで、あの口どけの良さがある。逆にそのせいで、夏の山ではどろどろになる。良さも弱点も理由は同じです。真夏の日なたのザックの中は簡単にその温度を超えますから、溶けて当然でした。

ちなみに冬なら溶けにくいので、チョコに戻せなくはありません。ただ、代わりに持つようになった羊羹とドライフルーツに悪いところがなく、戻す理由がないので、今もチョコには戻していません。

この2つに共通するのは、栄養の数字では優秀なのに、山の上での食べやすさで落ちたということ。行動食は家で座って食べる物ではなく、汗をかきながら・暑い中・立ったままで食べる物です。その前提で選ぶと、定番はおのずと変わってきます。

登山の塩分補給の考え方|塩タブレット1粒の塩分量

レモンと水のグラスと塩タブレット

塩タブレットを何粒食べればいいかを考えるとき、やまエイト編集部が目安にしているのが「水100mlに塩0.1〜0.2g」という数字です。これさえ把握しておけば、粒数が逆算できます。

出どころは厚生労働省の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(2026年3月)。暑い環境で作業する人向けの基準で、0.1〜0.2%の食塩水、またはナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンク等を20〜30分ごとにカップ1〜2杯程度摂るのが望ましいとされ、あわせて摂り過ぎにも注意するよう書かれています。登山向けに作られた数字ではありませんが、汗をかきながら体を動かす点は同じなので、この記事では登山の目安として借りています。

これを塩タブレットに置き換えてみます。カバヤの塩分チャージタブレッツは1粒(3.0g)あたり食塩相当量0.119g(公式サイトより)。水100mlに塩0.1〜0.2gという目安に当てはめると、水100mlごとに1粒で目安の下限、2粒だと0.24gで上限を少し超えるという計算になります。ざっくり「100mlに1粒、多くても1粒半」です。カバヤ自身も「水1Lに対して塩分1〜2g」「水100mLに対して1粒が同等」と案内しているので、方向は合っています(1Lに直すと、0.119gで計算して8〜17粒ほどです)。

ここで一つ注意。厚労省のガイドラインにあるのは飲み物の濃さの目安で、「1日に何粒まで」という上限は書かれていません。上限は汗の量で変わるので一律には言えず、カバヤも「塩分の多い商品」として注意書きを付けています。涼しい季節の低山で汗をほとんどかかない日にまで、夏と同じ粒数を食べる必要はありません。汗の量に合わせて、その日の粒数を変えるのが基本です。そして、高血圧や腎臓の病気などで塩分制限のある人は、粒数を自分で決めずに医師に相談してください。

私自身が念頭に置いているのは、水200mlに1粒くらいという目安です(コップ1杯くらい飲んだら1粒、というイメージです)。上の計算よりは控えめな数字ですが、これを土台にして、汗を多くかく日は意識して足しています。飲み物の話(麦茶をペットボトルで持つ理由や、飲む量の決め方)は別の記事にまとめる予定です。

塩分の取り方には、タブレット以外の道もあります。梅干しや塩昆布は山の定番ですし、おにぎりの塩気で足りる日もあると思います。それでも私がタブレットにしているのは、ゴミがかさばらない、ベタつかない、1粒の塩分量が数字で正確に分かる、炎天下でも傷みにくい、の4つが理由です。

梅干しだと、その日どれだけ塩分を取ったかが分かりにくくなります。夏の行動食としては、タブレットが私には合っています。

▼私が夏の登山で実際に使っている塩タブレットはこちら


季節で変わる注意点|夏は溶ける、冬は凍る

霧の中の雪の稜線を登る冬装備のハイカー

同じ行動食でも、季節によって夏は「溶ける」、冬は「凍る・固くなる」という別の敵が出てきます。私がチョコで痛い目を見たのは夏側の話でしたが、冬側にも落とし穴があります。

夏:28℃を超えるとチョコ系は覚悟が要る

夏の敵は温度です。前の章のとおりチョコは28℃前後から溶け始めるので、真夏の低山でザックの中に入れておけば、ほぼ確実に柔らかくなります。チョコで覆ったタイプのバーも表面が溶けて包装に張り付くことがあるので、直射日光の当たる場所に入れないのが最低限の対策です。

私の場合、行動食はザックの腰ベルトポケットに入れていて、ここは体に近い側にあります。それでもバーはベイクドタイプに絞っていて、チョコで覆ったタイプは夏に溶けるので山には持っていきません。ベイクドタイプなら、真夏に「少し柔らかいかな?」と思ったことはあるものの、気になるほどの差ではありませんでした。

それでも真夏は、ラムネと羊羹の比率を上げるようにしています。理由は、バーは量が多いぶんラムネより喉が渇きやすいこと、ラムネはすぐ食べられて糖質の吸収が早いこと。それと、真夏は単純に疲労感も強くなるので、体が甘い物を欲しているのかもしれません。羊羹は塩分補給にもなる気がしていますが、こちらは数字の裏がない私の感覚です。

夏はもう一つ、塩分の重要度が上がる季節でもあります。汗の量が違うので、私が塩タブレットを持つのは夏だけです。

冬:水分の多い物が固くなる

冬の敵は低温です。水分を多く含む物は凍ったり固くなったりするので、押し出して食べるタイプの羊羹は固くなると出てこなくなりますし、ペットボトルは氷点下の山では凍ってただの重りになります。対策は「固くなる物は肌に近いポケットに入れておく」こと。体温で守る、という考え方です。

キャラメルの入ったチョコバーも同じで、寒いとカチカチになります。逆に、チョコレート系は寒い場所ならパリッとした食感のまま食べられます。

甘い系を羊羹に頼っている私にとっては、冬に気をつけたいところです。寒い日に羊羹を持つなら、ザックの奥ではなく体に近いポケットに入れておくのが無難です。私はさらに、食べる少し前に手や体に近い所で温めてから口にするようにしています。冬のガスボンベが寒さで使えないときに、使う前に上着の中に入れて体温で温めるのと同じ発想です。羊羹は固くなると本当に出てこなくて、もやっとしますからね。

まとめると、夏は「溶けない物を主役に」、冬は「凍らない物を主役に」。私の定番5つのうち、ラムネとナッツは季節を選ばず、ベイクドのバーも溶けず凍らずで年中いけます。塩タブレットは夏だけの枠です。季節で立ち位置が変わるのは羊羹で、真夏は比率を上げ、冬は固くなるので体に近いポケットへ。季節で主役を入れ替える、と覚えておけば大丈夫です。

行動食の持ち方と食べるタイミング|私の運用

森の地面に置いたメッシュの小袋に入ったナッツ類

行動食は、「取り出しやすい場所」に入れておかないと食べません。これは本当にそうで、ザックを下ろさないと出せない場所に入れた行動食は、面倒くさくてつい食べそびれます。

置き場所はザックの腰ベルトポケット

私の置き場所はザックの腰ベルトのポケットです。使っているミレーのサースフェーNX 30+5は腰ベルトのポケットが大きく、大きい方のポケットには別の装備を入れているので、行動食は小さい方のポケットです。身軽な日に使う20Lのザック、サロモンのトレイルブレイザー20のときも同じで、行動食は腰ベルトのポケット。どのザックでも置き場所を同じにしているので、考えなくても自然に手が伸びます。

この置き方の良さは、歩きながら手を伸ばせば届くこと。「そろそろ1時間かな〜」と思ったときにラムネを数粒、という動きがザックを下ろさずにできます。ハンガーノックの予防が「空腹になる前に食べる」である以上、食べるまでの手間が少ないことは、何を食べるかと同じくらい大事だと私は思っています。

ポケットに入れているのは、次の4つです。

①一本満足バー1本

②片手で食べられる小さな羊羹1〜2個、またはドライフルーツ数個(ジップロックに入れて)

③小さなジップロックに小分けしたラムネ数粒

④ゴミ入れ用の、空の小さなジップロック

全部をポケットに入れるわけではなく、残りのストックはザックの中に、それぞれジップロックで数個ずつ入れています。ゴミ用のジップロックを一つ入れておくと、歩きながら食べた包み紙の置き場に困りません。ポケットに直接入れると食べかすで汚れて掃除が面倒なので、その対策でもあります。これはおすすめです。

ザックを選ぶときに腰ベルトのポケットの大きさまで見る人は少ないと思いますが、行動食の運用にはここが直結します。ラムネを小さなジップロックに移し替えるのも、このポケットに収まる形を優先しているからです。

入れ物を100均でそろえたい人もいると思います。やまエイト編集部で調べた範囲では、100均の食品用のチャック付き袋で十分に代わりが利きます。見るところは、食品用の表示があること、片手で開け閉めしやすいこと、減ったらぺたんこになる柔らかい袋であること、腰ベルトのポケットに収まる大きさであること、くらいです。固いケースはポケットの中でかさばるので、行動食の小分けには向きません。

▼腰ベルトポケットが大きい、私のザックはこちら

食べるタイミングと持つ量

食べるタイミングは、物ごとに決めています。

①プロテインバー:休憩中に

②ラムネ:1時間くらいを目安に、歩きながら数粒

③羊羹:ざっくり2〜3時間ごと、疲れてきたなと思ったタイミングで

持つ量はバー2本・羊羹2本・ラムネ1袋の5個が基本で、その日の気分で足し引きします。ここは人によって差が出るところなので、自分の空腹のリズムに合わせて調整するのがいいと思います。

あと、これは経験則ですが、下山までに使い切らない量を持つようにしています。行動食が余るのは失敗ではなく、道に迷ったり予定より時間がかかったりしたときの保険です。飲み物と同じで「ちょうどなくなるより少し多め」が私の基準になっています。

そして私の場合、非常食はこの行動食のストックが兼ねています。非常食の枠を別に作って、井村屋の「えいようかん」のような長期保存できる物をザックの奥に入れっぱなしにしておく持ち方もあります(えいようかんはもともと非常用の商品です)。ただ私は、下山が遅れたときの非常用・緊急用としては、少し多めに持った行動食の余りで足りると考えていて、別枠は作っていません。何日も山にとどまる事態まで想定した備えではなく、あくまで「予定が狂った日の保険」の範囲です。余った物は、日持ちする物なら次回に回し、日持ちしない物は翌日のおやつです。

行動食と昼食も分けて考えていて、しっかり食べたい日の山ごはん(冷凍弁当やおにぎり、バーナーでの調理)はまた別の話になります。そちらは別の記事にまとめる予定です。

行動食以外の日帰り装備は、全装備リストとしてこちらの記事で詳しく書いています。下のカードからどうぞ。

日帰り登山の持ち物リスト15点|登山歴10年・通算800回以上の私の全装備
登山歴10年・通算800回以上の私が、日帰り登山で実際に使っている装備15点を全公開。ギア・ウェア・虫対策と補給の3ジャンルに分けて、選んだ理由と定番の他候補もあわせて紹介します。荷造り前のチェックリストとしてもどうぞ。

コンビニで買える登山の行動食の定番【調査まとめ】

黒い皿に盛ったチョコレートやナッツバーとピスタチオ

行動食は、登山用品店に行かなくてもコンビニの棚でひと通りそろいます。登山口へ向かう途中で買い足せるのは大きな利点なので、調べた範囲で定番をまとめておきます。

コンビニで買える行動食の定番を分類すると次のとおりです。

系統 コンビニで買える定番 向いている場面
すぐ効く甘い系 ラムネ・アメ・グミ 歩きながらの補給・足が重いとき
腹持ち系(主食) おにぎり・パン・サンドイッチ 長い休憩・昼食兼用
塩分系 柿の種・ポテトチップス・塩タブレット 汗を多くかく夏
軽くて高カロリー ミックスナッツ・チョコ 長時間行動・寒い季節
バランス・補助 カロリーメイト・プロテインバー・ゼリー飲料 食欲がないとき・手早く済ませたいとき

コンビニには経口補水液も並んでいますが、これは脱水症状が出たときのための飲み物で、日常の行動食に数える物ではありません。塩分も多いので、体調を崩したときの備えとして別扱いにするのが無難です。

選ぶときの見方は、この記事でここまで書いてきたことがそのまま使えます。見るのは、食べたせいで飲み物が大幅に減らないか、片手で食べられるか、その日の気温で溶けないか・固くならないか、1gあたりのカロリーは十分か、の4つです。

この4つで棚を見ると、たとえば真夏にチョコを選ぶのは気温のところで引っかかりますし、水が少ない日にパサついて喉が渇く物を選ぶのは飲み物のところで引っかかる。逆にラムネ・ナッツ・ドライフルーツあたりは季節を問わず通りやすい、という判断ができると思います。おにぎりは腹持ちがよく塩分も取れる優秀な選択肢ですが、行動食というより、もう昼食ですね(笑)。

なお、ゼリー飲料は手軽で人気ですが、前の章で書いた「水分の多い物は冬に凍る・固くなる」という理屈は、ゼリー飲料にもそのまま当てはまります。コンビニで買うときも、季節の目で一度ふるいにかけてください。

登山の行動食のよくある質問

虫眼鏡とはてなマークのイメージ

行動食は何kcal持てばいいですか?

目安の式は体重×行動時間×5kcal(ザックの重さまで足して計算する流儀もあります)で、体重65kg・6時間なら約1,950kcal、そのうち7〜8割ほどを当日の朝ごはんと行動中とで補うのが目安とされています。朝ごはんと昼食を引いた残りが行動食の分です。私自身は合計を計算するより、「切らさないペース」の方を重視しています。

朝ごはんをしっかり食べれば行動食はいりませんか?

いります。体内の糖質の蓄えには限りがあり、朝ごはんの分だけで一日を歩き切れる量ではありません。ハンガーノックは「お腹が空いた」と感じてからでは遅いので、空腹になる前に少しずつ食べるのが基本です。

行動食を1つだけ持つなら何がいいですか?

私ならラムネです。すぐ効いて、夏でも溶けないので季節を問わず持っていけます。ただ腹持ちは足りないので、1つで済ませるのは日帰りの短い山行まで。長く歩く日は、プロテインバーのような腹持ちのする物と組み合わせてください。

ラムネだけでも行動食になりますか?

補給には使えますが、足りるかどうかは量と行動時間によります。ラムネはすぐ効く反面すぐ消えるので、長い日はラムネだけだと腹持ちがしません。私はラムネを「すぐ効く枠」と割り切って、腹持ちはプロテインバーに任せています。

塩タブレットは1日何粒まで食べていいですか?

正直に言うと、一律の上限は決めにくいです。カバヤの塩分チャージタブレッツなら1粒で食塩相当量0.119g。厚労省のガイドラインの目安(水100mlに塩0.1〜0.2g)に当てはめると水100mlに1粒で下限、多くても1粒半(2粒だと上限を少し超えます)なので、飲んだ量から逆算するのが現実的です。汗をかかない日に夏と同じ粒数を食べる必要はなく、メーカーも塩分の多い商品として注意書きしています。塩分制限のある人は医師に相談してください。

カロリーメイトは登山に向いていないんですか?

決して、製品として向いていないわけではありません。1本100kcalで計算しやすく、1gあたり約5kcalと軽さでも優秀です。私がやめたのは、食べると喉が渇いて、余分に飲む分だけ飲み物が重くなるのが合わなかったから。休憩でしっかり座って、飲み物と一緒にゆっくり食べる人には今も有力な選択肢だと思います。

行動食が余ったらどうすればいいですか?

次の山行に回せば無駄になりません。私は日持ちする物は次回へ、日持ちしない物は翌日のおやつにしています。むしろ余らせるくらいの量を持つのが、予定が狂ったときの保険になります。私の場合はその余りが非常食を兼ねているので、余って帰るのが普通です。どうぞ明日のおやつにでも食べちゃってください(笑)。

プロテインバーは太りませんか?

バーを食べるかどうかだけでは、太るかどうかは決まりません。1本240kcal前後のバーも、朝ごはんや昼食、ほかの行動食と合わせて一日の食事として考えるものです。登山中は、体重を気にして必要な補給まで減らさないようにしてください。

まとめ:行動食は「山の上で食べやすいか」で選ぶ

まとめ【登山の行動食のまとめ】

  • 行動食の役目は糖質を切らさないこと+腹持ち。すぐ効く糖質はラムネ・羊羹、腹持ちはバーと分けて、空腹になる前に少しずつ食べる
  • 私の定番はプロテインバー(一本満足バーのベイクドタイプを気分で)・ラムネ(小さなジップロックに小分け)・羊羹(井村屋の小さなようかん)とドライフルーツ・塩タブレット(夏だけ)・ナッツの5つ。日帰り1回の基本セットは5個で600円前後、ネット通販のセールでまとめ買い
  • バーが主力なのは溶けない・凍らない・ベタつかない=食べやすいのがいちばんの理由。次に腹持ち、行く途中のコンビニで買えること
  • やめたのはカロリーメイト(喉が渇いて飲み物の減りが増える)とチョコ(夏に溶けて手にべったり)。数字は優秀でも山の上で食べにくかった
  • 量の目安は体重×行動時間×5kcalと1gあたりのカロリー
  • 塩分は水100mlに塩0.1〜0.2gが目安(厚労省のガイドライン)。塩タブレットなら100mlに1粒で下限、2粒だと上限を少し超えるので多くても1粒半(私は水200mlに1粒くらいを念頭に、汗の多い日は足す)。塩分制限のある人は医師に相談
  • 夏は溶けない物・冬は凍らない物を主役に。真夏はラムネと羊羹の比率を上げ、冬の羊羹は体に近いポケットで温めてから食べる
  • 置き場所は歩きながら手が届くポケット。食べるのはバーは休憩中・ラムネは1時間目安に数粒・羊羹は2〜3時間ごと。少し多めに持って、余りが非常食を兼ねる

行動食選びで私がいちばん伝えたいのは、栄養成分表より「山の上で食べやすいか」を先に見てほしい、ということです。カロリーメイトもチョコも、数字だけなら今でも優秀な行動食。でも飲み物の減り方と真夏のザックの中では、その数字が生きませんでした。

まずは私の5つを丸ごと真似してもらってもいいですし、そこから自分の口に合う物へ少しずつ入れ替えていくのが、いちばん失敗の少ない道だと思います。次の山で、ポケットに手を伸ばす回数を一つ増やしてみてください。

▼私がよく買う一本満足バーのベイクドタイプはこちら

Enjoy the mountains!

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